シャーロックとワトソンの名探偵コンビ、ドラマは衝撃の第4章へ(ネタばれ注意)
――第2話は最高だった。トビー・ジョーンズが殺人鬼のカルバートン・スミスを不気味に演じていて。放送中にツイッターをチェックしていたら......。
【ゲイティス】ちゃんとテレビを見なくちゃ!
【モファット】一瞬たりとも油断しないでくれ。スマホに目を落とした瞬間に......。
【ゲイティス】君は全てを見逃してる!
――観賞中はツイッター禁止?
【ゲイティス】当たり前だ。テレビから目を離すな!
【モファット】最終話には、90分に収まらないドラマが詰まっている。よそ見している暇はない。トイレも禁止。その場でしろ。
【参考記事】『ハウス・オブ・カード』が変えるドラマの法則
――了解。ツイッターではスミスをジミー・サビル(およそ40年間に少なくとも72人の少年少女に性的虐待を加えていたことが死後発覚したBBCの元名物司会者)になぞらえる声があった。スミスは権力を悪用して人を殺すが、その悪事に世間は気付かない。
【モファット】有名人がいかに名声に守られているかを描きたかった。有名だからというだけでドナルド・トランプがアメリカ大統領になれる世界で、名声に隠蔽された悪を描くのは理にかなっていると思った。
【ゲイティス】悪人には悪人の自覚がない。スミスは確かにサビルに重なるが、特定の人物をモデルにしたくはなかった。スミスもそうだが、最近は記者会見を開き、「身に覚えがない」としらを切るやからが多過ぎる。世間が有罪だと騒いでも有名人は逃げおおせる。
――スパイアクションの要素が入った第1話を、ガーディアン紙は『007』映画みたいだと批判した。マーク、あなたはこれに反論する詩を書いた。
【ゲイティス】的外れなことを言われてカチンときた。驚いたことに、あの詩はどんな取材記事よりも反響を呼んだ。これからはもっと詩を書こうかな。
【モファット】原作者のコナン・ドイルも同じことをした。ホームズについて詩の形式でばかげた批判を書いた評論家に、ずっと出来のいい詩で逆襲した。
――『007』もどきと揶揄されて、どう思った?
【モファット】第1話には3分間だけ殴り合いのシーンがある。アクションシーンが3分しかないボンド映画があったら、教えてほしいね。最終話のアクションは......ま、見てのお楽しみ。
[2017年2月 7日号掲載]