トランプ政権のマクマスター新補佐官、安全保障に食い違い
2月20日、トランプ米大統領は、反対意見をほとんど受け付けようとしない。だが新たに国家安全保障問題担当の大統領補佐官に就任したマクマスター陸軍中将(写真)によって、早速度量が試されることになりそうだ。写真はフロリダ州のパームビーチで20日撮影(2017年 ロイター/Kevin Lamarque)
トランプ米大統領は、反対意見をほとんど受け付けようとしない。だが新たに国家安全保障問題担当の大統領補佐官に就任したマクマスター陸軍中将によって、早速度量が試されることになりそうだ。
マクマスター氏はロシア、対テロ、米軍再編などの重要な安全保障上の問題について、ホワイトハウスにおいてトランプ氏に忠実なグループと見解が異なるだけでなく、トランプ氏自身が表明してきた考えとも一致していない。
感情より経験、政策理論より実践、衝動より知性に基づいた思考回路を持つマクマスター氏にとって、政治の舞台は異世界で、かつてのアフガニスタンやイラクの戦場と同じく反感を向けられていると受け止めるかもしれない。
ただ孤立無援ではないだろう。政権内のマティス国防長官や、ダンフォード統合参謀本部議長、上院軍事委員会のマケイン委員長らは、ともに軍務に携わった多くの将兵とともに味方になってくれると期待できる。
スパイサー米大統領報道官は21日、トランプ氏がマクマスター氏に「国家安全保障チームの組織陣容を望むように固められる完全な権限がある」と伝えた、と説明した。
だがトランプ氏は既に、右派イデオロギーの持ち主として知られるバノン首席戦略官を国家安全保障会議(NSC)メンバーに加える異例の人事を行っている。
元陸軍将校で国防総省の中東政策担当者を務め、マクマスター氏とは10年以上も友人関係にあるアンドルー・エグザム氏は「(マクマスター氏が)バノン氏が政権に引き入れた、非常にイデオロギー色の強い人物たちと衝突する恐れがある」と述べた。
それでもトランプ氏が入国制限問題などでつまずいたことは、マクマスター氏ばかりかマティス氏やティラーソン国務長官の立場を強める要素になった、とエグザム氏は話す。
マクマスター氏の影響力が最初に試されるのは、政権のシリア政策と対イスラム過激派政策の見直し作業になるだろう。国防総省高官は21日、見直し結果は来週早々に公表すると述べた。
バノン氏は昨年6月、米国と西側同盟国はイスラム過激派と「世界的に存亡をかけた戦争」を遂行していると発言。しかしマクマスター氏のイスラム教スンニ派過激組織を打倒するやり方はもっと慎重で、過激派と地元の大多数の住民を分離する戦略に依拠するものだ。