アメリカ新聞業界が思わぬ「トランプ好景気」 広告収入増加か
<「傾きなし」と宣伝>
WSJは、大統領選の期間中にウェブサイトと紙面で、広告主と読者の信頼を得るための広告を掲載した。その1つはピンボールマシンの写真に「傾きなし。公平な選挙報道」というキャプションを付したものだ。
WSJは選挙後も、同紙のコンテンツは「現実の編集部で書かれ、編集され、校閲されたもの」だと強調する広告を掲載している。
購読料収入の増加に力を入れるニューヨーク・タイムズは、1月、「真実」と題するキャンペーンを開始。「真実。そのためにはあなたの支援が必要だ」と読者に購読契約を促すオンライン広告である。
ニューヨーク・タイムズのマーク・トンプソンCEOは最新の業績報告のなかで、同紙が公正で正確であることを読者に理解してもらうことに活路を見出しており、今後数週間でまた新たな販売キャンペーンを開始する計画だと述べている。
FTは、大統領選挙、そして現在はトランプ政権に関する報道を宣伝する「事実、真実」キャンペーンを行っている。
「USAトゥデー・ネットワーク」という呼称のもとで刊行物のブランド再編を行なったガネットは、同社が全米に地方紙ジャーナリストを抱えていることを強調するために大統領選挙を活用した、と最高マーケティング責任者アンディ・ヨースト氏は語った。
<広告主は集まるか>
選挙運動によってあおられた米国内の分断ゆえに、ブランド側は、政治的に偏っている印象のある出版物を避けているという。ロサンゼルスに本拠を置くブランド戦略代理店フェノメノンで戦略担当者を務めるナタリー・プラウト氏はそう指摘する。
たとえば、11月の選挙以来、あるブランドがハフィントンポストに広告を出稿すれば、そのブランドはリベラル派の主張を支持していると認識されることへの理解が高まってきた、とプラウト氏は言う。
またブランド側では、「フェイク・ニュース」と見られる記事に自社の広告が表示されてしまうことも懸念している。したがって、第三者を通じてデジタル広告枠を購入する「プログラマティック広告」を利用する場合にも、これまでより神経を尖らせている。
自社の広告が表示されたくないサイトを挙げるよりも、どのサイトに表示したいかを選択する出稿企業が増えている、とニューヨークに本拠を置く広告代理店ザ・メディア・キッチンのバリー・ローウェンタール社長は語る。