最新記事

メディア

アメリカ新聞業界が思わぬ「トランプ好景気」 広告収入増加か

2017年2月22日(水)10時31分

<「傾きなし」と宣伝>

WSJは、大統領選の期間中にウェブサイトと紙面で、広告主と読者の信頼を得るための広告を掲載した。その1つはピンボールマシンの写真に「傾きなし。公平な選挙報道」というキャプションを付したものだ。

WSJは選挙後も、同紙のコンテンツは「現実の編集部で書かれ、編集され、校閲されたもの」だと強調する広告を掲載している。

購読料収入の増加に力を入れるニューヨーク・タイムズは、1月、「真実」と題するキャンペーンを開始。「真実。そのためにはあなたの支援が必要だ」と読者に購読契約を促すオンライン広告である。

ニューヨーク・タイムズのマーク・トンプソンCEOは最新の業績報告のなかで、同紙が公正で正確であることを読者に理解してもらうことに活路を見出しており、今後数週間でまた新たな販売キャンペーンを開始する計画だと述べている。

FTは、大統領選挙、そして現在はトランプ政権に関する報道を宣伝する「事実、真実」キャンペーンを行っている。

「USAトゥデー・ネットワーク」という呼称のもとで刊行物のブランド再編を行なったガネットは、同社が全米に地方紙ジャーナリストを抱えていることを強調するために大統領選挙を活用した、と最高マーケティング責任者アンディ・ヨースト氏は語った。

<広告主は集まるか>

選挙運動によってあおられた米国内の分断ゆえに、ブランド側は、政治的に偏っている印象のある出版物を避けているという。ロサンゼルスに本拠を置くブランド戦略代理店フェノメノンで戦略担当者を務めるナタリー・プラウト氏はそう指摘する。

たとえば、11月の選挙以来、あるブランドがハフィントンポストに広告を出稿すれば、そのブランドはリベラル派の主張を支持していると認識されることへの理解が高まってきた、とプラウト氏は言う。

またブランド側では、「フェイク・ニュース」と見られる記事に自社の広告が表示されてしまうことも懸念している。したがって、第三者を通じてデジタル広告枠を購入する「プログラマティック広告」を利用する場合にも、これまでより神経を尖らせている。

自社の広告が表示されたくないサイトを挙げるよりも、どのサイトに表示したいかを選択する出稿企業が増えている、とニューヨークに本拠を置く広告代理店ザ・メディア・キッチンのバリー・ローウェンタール社長は語る。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米プリンストン大への政府助成金停止、反ユダヤ主義調

ワールド

イスラエルがガザ軍事作戦を大幅に拡大、広範囲制圧へ

ワールド

中国軍、東シナ海で実弾射撃訓練 台湾周辺の演習エス

ワールド

今年のドイツ成長率予想0.2%に下方修正、回復は緩
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 8
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 9
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 10
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 3
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥーが解明される...「現代技術では不可能」
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中