「線路立ち入りで書類送検」が他人事でなくなる侵入禁止リスト
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<2人の芸能人が線路の上に立った写真を公開し、書類送検された。容疑は鉄道営業法違反。無断で立ち入ると罪に問われる場所、あなたは知っているだろうか?>
先日、2人の芸能人が線路の上に立って撮影した写真をブログにアップしたために、鉄道営業法違反の容疑で書類送検され、世間から激しいバッシングを浴びた。
たしかに軽率で、危険な行為だったかもしれない。だが、日本国内で無断で立ち入ってはいけない場所がどこなのか、正確に答えられる人がどれほどいるだろうか。
しばしば「常識」と呼ばれる思い込みで片付けられがちだが、常識的に問題ないと思い込んでいても、犯罪として規定されている行為は少なくない(その逆もある)。
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こうした境界線について国民に一切告知されていないのは、改めて考えてみると恐ろしいことだ。条文に書けば済むという問題ではない。小学校の社会科で教わってもいいと思うのだが、先生は教えてくれない。
そこで本稿では、日本の法律によって犯罪として定められている屋外エリアの侵入行為について、最高刑の重い順に見ていきたい。
■懲役3年~1カ月 または罰金10万~1万円
<住居侵入罪・建造物侵入罪>
(刑法130条前段)
→ 他人の家の庭や屋根、マンションやビルが建っている敷地(および敷地に付属する庭園や駐車場など)に用もなく立ち入ることも、侵入罪となる。
たとえば、歩き疲れて、そのへんで目に付いたマンションの敷地内で休憩することも、本来は褒められた行為ではない。そのため、管理人に注意されたら出て行かなければならない。
このほか、学校の校庭や自動車学校の運転練習場に立ち入ることも同様である。過去の裁判例では、裏側に人が入れる構造になっている野球場のスコアボードも「建造物」と解釈されたことがある。
<艦船侵入罪>
(刑法130条前段)
→ 他人の管理するヨットやクルーザー、客船などの中へ勝手に立ち入ることも、住居侵入罪と同等の犯罪となる。また、海賊行為の目的で艦船に侵入したのなら、最高刑が懲役5年に引き上がる(海賊行為の処罰及び海賊行為への対処に関する法律3条3項・2条5号)ので、くれぐれも注意したい。
なお、手こぎボートやカヌーなどは、ここでいう「艦船」に含まれないとされている。
■懲役1年~1カ月 または罰金100万~1万円
<南極特別保護地区への無許可立ち入り>
(南極地域の環境の保護に関する法律29条3号・19条)
→ 南極特別保護地区とはどこなのか、具体的にはこちらを参照していただきたい。昭和基地の南方にも第41南極特別保護地区があるので、うっかり立ち入らないようにしたいものだ。
■懲役1年~1カ月 または罰金5万~1万円
<新幹線の線路への無断立ち入り>
(新幹線鉄道における列車運行の安全を妨げる行為の処罰に関する特例法3条2号)
→ 新幹線専用レールの内側だけでなく「軌道の中心線の両側について幅3メートル以内の場所」が立ち入り禁止エリアである。
新幹線の線路とその他の鉄道の線路とでは、関係する法律も処罰の重さも違うことに注意。今回騒動となった芸能人2人も、もしも新幹線の線路だったらもっと大変なことになっていたかもしれない。
■懲役1年~1カ月 または罰金2万~1万円 または科料(9999円以下)
<在日米軍施設・区域への無断立ち入り>
(日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法2条)
→ 米軍基地内だけでなく、基地の周辺海域に船で入ることも処罰の対象となる。
■懲役6カ月~1カ月 または罰金50万~1万円
<国立・国定公園の「利用調整地区」への無断立ち入り>
(自然公園法70条1号・15条3項)
→ 現在の利用調整地区は、全国で2カ所だけとなっており、吉野熊野国立公園(奈良県など)の西大台地区と、知床国立公園(北海道)の知床五湖地区である。ただし、ごく個人的な撮影やレクリエーション目的でも、認定を受けて手数料を払えば立ち入ることができる。
<原生自然環境保全地域の立入制限地区への無断立ち入り>
(自然環境保全法54条2号・19条3項)
→ 現在の立入制限地区は、全国で唯一、南硫黄島(東京都)のみである。うっかり南硫黄島に入らないよう、気をつけたい。