最新記事

慰安婦問題

長嶺大使帰国から1か月 釜山少女像問題は解決するか?

2017年2月9日(木)06時30分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

Stringer - REUTERS

<韓国・釜山の日本領事館前に慰安婦問題の象徴とされる少女像が設置され、日本政府が長嶺安政・韓国駐在大使を一時帰国させてから9日で1か月を迎えた。日韓両国政府ともに事態解決の糸口が見いだせないまま膠着状態に入ってしまった>

日韓両国政府による慰安婦問題合意に反発した釜山の「未来の世代が立てる平和の少女像推進委員会」という市民団体が、昨年12月28日、釜山の日本領事館前に慰安婦問題の象徴ともいえる少女像を突然設置した。

当初、設置場所である釜山市東区側は公共の場所への設置は認められないとして少女像を撤去したが、市民達からの抗議が殺到すると少女像を市民団体に返還。設置についても「市民団体が設置するのを妨げない」と方針を翻した。こうして12月30日市民団体側は、再度、釜山の日本総領事館前に少女像を設置した。


日本大使帰国から1カ月 (c) 연합뉴스 TV / Youtube

日本政府は、この少女像を「ウィーン条約に既定する領事機関の威厳などを侵害するものと考えている」と指摘して、撤去することを韓国政府に求め、
1)在釜山総領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせ
2)駐韓大使や在釜山総領事の一時帰国
3)日韓通貨スワップ取り決め協議の中断
4)日韓ハイレベル経済協議の延期
を決定した。

こうして日本政府は1月9日、長嶺大使を一時帰国させた。当初は2週間前後になると予想された一時帰国だったが、すでに1か月となった。これは、2012年に李明博(=イ・ミョンバク)大統領が竹島(韓国名・独島)を訪問した際に抗議の意味で武藤正敏大使が12日間一時帰国したことと比較しても異例の長さだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ガザの砂地から救助隊15人の遺体回収、国連がイスラ

ワールド

トランプ氏、北朝鮮の金総書記と「コミュニケーション

ビジネス

現代自、米ディーラーに値上げの可能性を通告 トラン

ビジネス

FRB当局者、金利巡り慎重姿勢 関税措置で物価上振
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 9
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 10
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 1
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 2
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 3
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】アメリカを貿易赤字にしている国...1位は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中