原油が世界中からアジアに集結 OPEC減産で長距離輸送でも妙味
裁定取引は続くか
石油大手で最初にアジアへの長距離輸送に乗り出したのはBP。昨年に約6隻のタンカーで米国産原油約300万バレルをオーストラリア、タイ、日本へと3万キロメートルにわたって輸送した。中国国際石油化工聯合(ユニペック)やトラフィギュラなどもメキシコ湾から中国へと米国産原油を輸送している。
北海原油をアジアに持ち込んでいるのはビトル、マーキュリア、トラフィギュラ、グレンコア、シェル、ユニペック、ソカーなど。
ブラジルは国有石油公社(ペトロブラス)の原油がアジアに流入し、OPEC加盟国であるアンゴラ産原油からシェアを奪っている。
原油商社ストロング・ペトロリアムのマネジングディレクター、オイスタイン・ベレントセン氏は、アジアでの裁定取引が続くかどうかは運賃と価格差次第とみている。
指標となる中東から日本へのスーパータンカーの運賃はワールドスケールレートが71ポイントと、過去10年間平均の約76ポイントを下回っている。
アジアで裁定取引がいつまで可能かははっきりしない。ベレントセン氏は、OPECの減産にもかかわらず原油は供給過剰だが、今年第3・四半期には需給が均衡すると予想。「その時点で裁定取引がまだ有効かどうかは分からない」とした。
(Henning Gloystein記者)