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アメリカ経済FRB、米商用不動産の値上がりに懸念増す 金融政策報告書で
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2月14日、米連邦準備理事会(FRB)は、イエレン議長の議会証言に合わせて議会に提出した金融政策報告書で、米商業用不動産の値上がりに「懸念が増している」との認識を示した。写真はニューヨーク・マンハッタンの風景。中央にそびえ立つ超高層ビルは432 パーク・アベニュー。昨年11月撮影(2017年 ロイター/Lucas Jackson)
米連邦準備理事会(FRB)は14日、イエレン議長の議会証言に合わせて議会に提出した金融政策報告書で、米商業用不動産の値上がりに「懸念が増している」との認識を示した。
FRBが半期に一度の金融政策報告書で、商業用不動産セクターに警鐘を鳴らすのは2015年2月から5期連続。
FRBは今回の報告書で「不動産価格が上昇を続け、資本収益率は歴史的な低水準に低下する中、過去1年で懸念が増大している分野である商業用不動産の評価額は一段と上昇した」と指摘。ただ、金融の安定性全体に対するリスクは「中程度」とした。
報告書は、商業用不動産の債務は経済全体に対して依然低水準で、銀行は融資基準を厳格化しているものの、商業用不動産の評価額の上昇圧力が高まることで、一部の中小銀行は商業用不動産の大幅な値下がりの影響を受けやすくなる可能性があると警告した。
FRBのデータによると、米銀の商業用不動産向け融資額は2015年9月に金融危機前の水準を超え、今年1月時点で過去最高の1兆9700億ドルを記録。このうち1兆2200億ドル程度を小規模銀行が担っている。
米調査会社グリーンストリート・アドバイザーズが算出する商業用不動産価格指数をみると、米商業用不動産価格は2009年半ばに付けた金融危機後の最低水準から倍以上に上昇している。
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