12歳で売られた花嫁 ロヒンギャの少女を取り巻く現実
2月15日、迫害や暴力に満ちたミャンマー西部ラカイン州から、マレーシアに逃れて来る大勢のイスラム系少数民族ロヒンギャの少女が、ロヒンギャ男性に花嫁として売る人身売買業者の犠牲になっている。写真は、夫から逃れてマレーシア首都郊外で家族と暮らす少女。9日撮影(2017年 ロイター/Lai Seng Sin)
ターコイズ色のヘッドスカーフを巻いたか細い少女は、暴力にまみれたミャンマー西部ラカイン州からマレーシアに逃れる途中で自分の身に起きたことを思い出しながら涙をこらえた。
当時わずか12歳だったこの少女は、10歳以上も年の離れた見ず知らずの男性との結婚を強いられた。
現在まだ13歳であるため彼女の名前は明かせないが、迫害や暴力、アパルトヘイト(人種隔離)のようなラカイン州での状況から逃れて来る大勢のイスラム系少数民族ロヒンギャの少女の1人である。だがそうした少女たちは結局、隣国マレーシアにいるロヒンギャ男性と結婚するために売られてしまうのだと、移民支援団体やロヒンギャの人たちは語る。
この少女によると、マレーシアに向かう途中で家族と離ればなれになり、人身売買業者に捕まった。そしてタイとマレーシア国境付近のジャングル地帯で、他の大勢の少女と共に、汚くて過酷なキャンプに数週間、監禁された。もし結婚に同意すれば、ロヒンギャ男性が自由にしてくれると、人身売買業者は彼女に言ったという。
「私は男の人に売られたと業者が言ったので、どうしたらそんなことができるのかと私は尋ねた。心は重く、怖かった」と、少女はクアラルンプールで行ったインタビューでこう語った。
ロイターは少女の証言の一部を独自に確認することはできなかった。しかし解放されるまでの数週間、少女はキャンプに捕らえられていたと母親が確認した。
少女の苦難は多くのロヒンギャが直面する困難の1つにすぎない。ロヒンギャはバングラデシュからの不法移民としてミャンマー政府からみなされ、権利も制限されている。
2012年以降、暴力や衝突によって多くのロヒンギャが殺害され、マレーシアやタイ、インドネシアやバングラデシュといった近隣諸国に避難しようとする人が後を絶たない。
ロヒンギャが多く住むラカイン州では昨年10月に武装集団が警察を襲撃する事件が発生し、治安機関が掃討作戦を展開。国連人権高等弁務官事務所は今月、掃討作戦で大量虐殺や性的暴行が行われたとの報告書を発表した。人道に対する罪に該当する確率が「極めて高い」ほか、民族浄化の可能性もあるという。