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自動運転車なら「雪道」でもスリップなしに安全走行できる?

2017年1月20日(金)17時48分
セス・バーンバウム ReadWrite[日本版]編集部

[4]車体に取り付けられたカメラも路上の障害物検知に役立つ。今後、メーカーはカメラをフロントガラスの裏に取り付けるか、冬でも凍りつかないよう解凍装置を開発するだろう。複数のセンサーを使うことで、1つのセンサーが雪に覆われた時の危険性を最小化することができる。マッピングアルゴリズムやレーダー、LIDARとカメラの組み合わせで安全性が提供される。

 さらに多くのセンサーを使おうとしているメーカーもあり、メルセデスベンツはクルマに23ものセンサーを搭載し、ガードレールや周りの交通状況、木々などを検知し、車線なしでも車が走れるようにしようと試みている。

多くの技術は未だ発展途上

 自動運転車があらゆる天候に対応できるようになるまでに克服されなければならない課題は多い。技術は進歩しているが、冬でも自動運転車が安全に走行できるためのいくつかの要素は依然として不明瞭である。凍結した路面は自動運転の問題であり続け、スノータイヤは当面必要だろう。

 荒天において安全に運転できるか否かの判断を人間はおこなうが、こういった経験に基づく判断を自動運転車がどう下すのかについては明らかでない。車に乗って家を出ようというときに、自動車が「安全ではないため運転できません」とでも言うのだろうか? 走行中に雪が降ってきたとき、車はどんな判断をおこなうのだろう?

 自動運転車向けの保険が冬には重要になるだろう。技術が進歩したとはいえ、路面凍結が問題であることは変わりない。横滑りやスピン、衝突などはなくならないだろう。センサーの雪かぶり対策は必須であり、自動車は危険な天候で先を見越したプランニングが求められる。

 また人間のドライバーを助けている技術が自動運転車にも搭載されることになるだろうか? 人が運転するためのABSやESC(Electronic Stability Control:横滑り防止装置)といった機能は備わっているが、自動運転車向けのものとなるとサードパーティ製の物になるため、揃っていないソフトウェアも存在する。自動運転車の雪道運転は向上しているものの、まだまだ道のりが遠いことは明らかだ。

 自動運転車が吹雪の中あなたを乗せて走るという未来は、まだまだ先の話になりそうである。

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ReadWrite[日本版]編集部

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