注目の就任式は行われるか、もうひとつの大統領就任に高まる緊張
同じ年の独裁者と新参者
現職のジャメは94年の軍事クーデターで権力を掌握し、96年に複数政党制を盛り込んだ新憲法を制定。政党「愛国再建同盟(APRC)」を結成し、選挙に勝利して大統領に就任した。任期は5年。これまで4期20年を務めている。
フォーリン・ポリシーによれば、魔女狩りのように弾圧を繰り返し、自分ならエイズを治せると言い張り、「ネブラスカ州大海軍大将」という謎の経歴を持つ、危険で奇怪な独裁者だ。昨年10月には国際刑事裁判所(ICC)からの脱退も表明している。
【参考記事】アフリカ諸国の脱退相次ぐICC、ガンビアは西側の二重基準を非難
一方、大統領選に勝利したバロウは、ガンビア政界の新参者だ。ガンビアがイギリスから独立した1965年に同国西部の小さな村に生まれ(ジャメと同じ年)、2000年代前半にはイギリスで学びながら警備員として働いていたと、BBCは伝える。2006年に帰国して不動産業を興し、昨年9月、野党リーダーが投獄されたという要因もあって野党7党の大統領選統一候補に選ばれたという。
バロウは選挙戦でジャメの政敵投獄や長期政権を批判し、その「業績」を否定、ICC復帰も公約した。ガンビア経済は低迷にあえいでいるが、BBCによれば、その影響をもろに受けている若年層に特に支持されたようだ。
選挙戦での勝利後、バロウは1月14日にマリで開催されたアフリカ・フランス首脳会議に招待され、フランソワ・オランド仏大統領とも会談している。国際社会のバックアップは得つつあるが、果たして予定どおり大統領に就任できるのか。
独裁者、選挙の混乱、経済低迷......。よくあるアフリカの話で済ませてはならない。「世界の警察官をやめる」と主張してきたトランプの大統領就任により、今後はこうした政変や危機がますます野放しになるかもしれない。