プリンスの自宅兼スタジオ「ペイズリーパーク」がついに公開
VIPチケット(100ドル)では、1時間40分にわたるガイド付きツアーを楽しめる。一般チケットでは見られない品々にお目にかかれるほか、写真撮影もしてもらえる(それ以外は館内での撮影は一切禁止)。
運よく木曜日のVIPツアーに参加できれば、多くの名曲が録音されたスタジオBで、プリンスの曲の一部に自分のボーカルをかぶせてレコーディングしてもらうという、ファンには夢のような体験ができる。写真や自分の録音は、紫色のUSBに保存して持ち帰れる。
プリンスの没後1年となる4月には、「セレブレーション2017」という4日間の特別イベントを予定。「ミュージシャンや特別ゲスト、それにプリンスと一緒に仕事をし、彼のことを最もよく知る友人たちが一堂に会して」ライブやパネルディスカッションを繰り広げる計画だという。
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ファンの衝撃を癒やす場所
プリンスのファンにとってのペイズリーパークは、エルビス・プレスリーのファンにとってのグレースランドに似たものになるだろう。グレースランドとは、テネシー州メンフィスにある旧プレスリー宅で、ファンには聖地のような存在だ。
グレースランドを訪れることは、「本物」のプレスリーファンである証し。それと同じように、ペイズリーパークを訪れることは、熱烈なプリンスファンにとって死ぬまでに必ずやりたいことの1つになるだろう。
昨年は、伝説のギタリストであるジミ・ヘンドリックスが60年代末に住んでいたロンドンのフラットの一般公開も始まった。壁に飾られたタペストリーから、レコードプレーヤーの隣に積まれたレコードの山まで、ヘンドリックスが68年に住んでいた状態をそっくり再現したという触れ込みだ。
確かにヘンドリックスは史上最高のギタリストの1人であり、60年代の文化を象徴する存在だ。だが、現役時代は主にイギリスの一部の音楽シーンの枠組みで活躍したにすぎない。
プレスリーとプリンスは違う。彼らは自分の枠組みを作り、自分の音楽シーンを作り上げた。彼らの熱狂的なファンは、彼らの体現する世界を共に生きた。だから2人の不慮の死は、ファンの人生をひっくり返す大事件として受け止められたのだ。
その死によって、人生にぽっかり穴があいてしまったファンにとって、心の穴を埋めるには「聖地」を巡礼するしかない。
[2017年1月17日号掲載]