最新記事

米ロ関係

トランプ&プーチンの蜜月、米議会圧力で破局か

2017年1月12日(木)11時00分


議会との対立はあるか

 共和党のリンジー・グラハム上院議員は、同党のジョン・マケイン上院議員(上院軍事委員会委員長)とともに、現行よりも厳しい制裁を科すための法律を導入すると述べた。

 「彼ら(ロシア)の最大の弱点である金融部門・エネルギー部門に打撃を与えるような制裁を導入するつもりだ」とグラハム上院議員は、NBCの「ミート・ザ・プレス」で語った。
 新政権の国防長官に指名されたジェームズ・マティス氏(元中央軍司令官)は12日に上院の指名承認公聴会に臨む予定だが、トランプ氏が選挙期間中に語ったものよりも厳しい対ロシア政策を主張すると予想されている。

 その場合、マティス氏は、トランプ政権の国家安全保障担当補佐官となるマイケル・フリン氏(退役陸軍中将)や国務長官に指名されているレックス・ティラーソン氏と意見が対立することになる。フリン氏はプーチン政権と比較的良好な関係にあるし、ティラーソン氏も米石油大手エクソンモービルのCEOとして、ロシアとの関係が深かったからだ。

 マティス氏がロシアに対する強硬なアプローチを推進すれば、欧州における米軍のプレゼンス強化を訴える人々を勢いづける可能性がある。その方策としては、バルト3国やポーランドにおける米軍の強化が考えられる、とアナリストは分析する。

 北大西洋条約機構(NATO)はすでに、年内に旧ソ連の共和国だったバルト3国とポーランドに4万人の兵員と航空機、戦車、火砲を追加配備することを計画している。

 「欧州のNATO加盟国は、トランプ新政権に神経を尖らせている」と欧州のある外交官は語る。「ロシアに大きく譲歩すれば、NATOの針路は根本的に変わってしまい、欧州は分裂の危機にさらされるだろうという」

「しかし、われわれの予想は違う。NATOはバルト地域の同盟国を安心させようと努めているし、米国は抑止の重要な一翼を担っている」と同外交官は付け加えた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

現代製鉄、米工場建設を積極検討

ビジネス

英財政赤字、12月は市場予想以上に膨らむ 利払い費

ビジネス

トランプ氏の製造業本国回帰戦略、ECB総裁が実効性

ワールド

中国、国有金融機関に年収上限設定 収入半減も=関係
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの焼け野原
  • 3
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピー・ジョー」が居眠りか...動画で検証
  • 4
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    大統領令とは何か? 覆されることはあるのか、何で…
  • 7
    電子レンジは「バクテリアの温床」...どう掃除すれば…
  • 8
    世界第3位の経済大国...「前年比0.2%減」マイナス経…
  • 9
    欧州だけでも「十分足りる」...トランプがウクライナ…
  • 10
    「敵対国」で高まるトランプ人気...まさかの国で「世…
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 5
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 9
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 10
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中