最新記事

米ロ関係

トランプ&プーチンの蜜月、米議会圧力で破局か

2017年1月12日(木)11時00分

 ロシアによるハッキングに対する強硬な対応を主張する人々の一部には、サイバー領域での反撃を含めるべきとの意見もある。プーチンの側近や盟友にとって不都合な資金情報のリークなどが考えられる。

 これまでのところオバマ政権は、少なくとも公式にはそうした行動を自制してきた。サイバー戦争がエスカレートして、金融取引やエネルギー伝送といったきわめて重要なインフラに脅威が及ぶことを懸念しているからだ。

新政権の対ロ政策は依然不透明

 米国がロシアによるハッキングを公表したことを受けて、トランプ氏は、米国は「もっと大きな、より良いことに取り組んでいく必要がある」と主張しているが、共和党や民主党議員らがこの問題を早々に取り下げる可能性は低い。

 マケイン上院議員は、共和党優位の上院における指導者層をその気にさせることができれば、ロシアによるハッキングを調査する特別委員会を設置したいとNBCに語っている。

 その一方で、同議員は軍事委員会や情報委員会など上院の主要委員会でも調査が行われるだろうと述べている。

 ロシアの活動に関する精査は、トランプ新政権が、かつての冷戦時代の仇敵であるロシアに関する包括的な戦略の策定を始めるタイミングで行われるだろう、と専門家は予想する。トランプ政権による対ロシア戦略の明確な方向性が見えてくるまでには、あと数週間、あるいはそれ以上かかりそうだ。

 「チームが発足し組織がもう少し整うまでは、はっきりした答えは見えてこないだろうと考えている」と現在は戦略国際問題研究所に所属するヒザー・コンリー元国務次官補(欧州担当)は語った。

 (翻訳:エァクレーレン)

[ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ECB預金金利、夏までに2%へ引き下げも=仏中銀総

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、6月以来の高水準=ベー

ワールド

ローマ教皇の容体悪化、バチカン「危機的」と発表

ワールド

アングル:カナダ総選挙が接戦の構図に一変、トランプ
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中