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優秀なチームの「失敗」を止める方法

2017年1月5日(木)20時10分
デレク・ニューベリー、マリオ・ムサ、マデリン・ボイヤー ※編集・企画:情報工場

最大の成果を引き出す「3×3フレームワーク」

 私たちは、これまでの研究や経験から、どんな集団からも最大の成果を引き出す方法について、幅広い知見を得ることができた。それを煮詰めたものが「3×3フレームワーク」だ。

「3×3フレームワーク」は3つの土台と3つのステップで構成されている。

 土台となる3つの最重要ルールは「目標」「役割」「規範」だ。優秀なチームのメンバーは皆、集団としての「目標」を個人の目標に結びつけている。また、メンバー同士が互いに依存しあえる、明確な「役割」を決めておくことも大事だ。さらに、チームを成功させるには、どのように情報を共有し、どう決定し、対立の処理をどうするか、などいくつかの重要な点に絞った「規範」を設けるべきだ。

 3つのステップは「コミット」「チェック」「クローズ」。「コミット」とは定めたルールに積極的に関わっていくことだ。目標、役割、規範を明示した「憲章」のようなものを作成することをお勧めする。「チェック」は「ズレ」が生じていないかをしっかりと確認すること、「クローズ」は、チームメンバーが陥りがちな「言行不一致」をクローズ、すなわちやめることだ。

「3×3フレームワーク」はシンプルであるがゆえに、簡単に実行できそうに思えるかもしれないが、実際には難しい。だが、その難しさを克服したチームは、確実に結果を出すことができるだろう。

 ウォリアーズのヘッドコーチ、スティーブ・カーは、4月5日の屈辱的な敗北の後、選手全員に確認した。引き続き記録更新をめざすか、それともプレーオフに備えて体を休めるか。チームは前者を選び、73勝9敗でシーズンを終えた。同様に、フォルクスワーゲンのリーダーたちも、今回の危機を社内カルチャーを見直す機会と捉えているようだ。

[執筆者]
デレク・ニューベリー Dr. Derek Newberry
マリオ・ムサ Dr. Mario Moussa
マデリン・ボイヤー Dr.Madeline Boyer
スダンシュ・パルスル Sudhanshu Palsule
3人は『Commited Teams』(Wiley, 2016)の共著者。ムサ氏はペンシルベニア大学ウォートンスクールのエグゼクティブ教育プログラムで教鞭をとる。ニューベリー氏とボイヤー氏はウォートンスクールの学士課程で教えている。

© 情報工場
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※当記事は「Dialogue Q4 2016」からの転載記事です

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情報工場
2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、エグゼクティブ向け教育機関で世界一と評されるDuke Corporate Educationが発行するビジネス誌『Dialogue Review』や、まだ日本で出版されていない欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約6万人のビジネスパーソンが利用中。 http://www.joho-kojo.com/top

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