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米中関係

トランプとうり二つの反中派が米経済を担う

2017年1月4日(水)09時00分
アイザック・ストーン・フィッシュ

異論や代替策は望めない

 16年6月のナショナル・インタレスト誌の記事で、ナバロはトランプの言う中国製品に45%の関税をかける政策が実行されれば貿易赤字は解消すると主張した。「中国も不公平な貿易慣行を諦め、貿易赤字は平和裏に均衡を取り戻し、米中双方が恩恵を受ける」と、彼は言う。

 そんな展開はどう考えてもあり得ないだろう。起こり得るのは、米中双方に打撃となる貿易戦争だ。ナバロの摩訶不思議な思考回路で問題なのは、果たして彼が思いどおりにいかなかった場合の代替策をトランプに助言できるのか、という点だろう。

【参考記事】「中国から雇用を取り戻す」トランプ政策の勝算はゼロ

 ナバロの過去10年ほどの著作や記事はひどいが、彼本人はもう少しましな思考ができる人間だ。公益企業研究で高く評価されているし、ハーバード大学で博士号を取得する前は平和部隊でタイに駐在した経験もある。

 ナバロは陣営で唯一の経済博士号を持つ政策アドバイザーとしてトランプに太鼓判を押してきた。アメリカ国民がトランプに共鳴し、非難の矛先を中国に向けることを、ナバロは見事に予測していたわけだ。

 それでも、彼の考えの多くは危険なほど間違っている。それが分かるほどの賢さは、ナバロも持ち合わせているはずだ。

© 2017, Slate

[2017年1月10日号掲載]

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