プーチン訪日を批判報道する中国――対中包囲網警戒も
山口県長門市の温泉旅館では2人で「密談」も(12月15日) Alexander Zemlianichenko -REUTERS
プーチン大統領の訪日に中国は強い警戒心を持ち、連日報道していた。特に読売新聞の取材や朝日新聞の報道、ロシアの報道官が会談後に漏らした言葉などに注目。警戒の対象は米露接近と日露接近による対中包囲網だ。
日本の報道を逆利用――「領土問題は存在せず」
なんといっても大きかったのは、プーチン大統領が読売新聞社とNNN(日本テレビ放送網)の取材を受けて、北方領土問題に関して回答した「領土問題は存在せず」という言葉だ。
筆者もその取材全文を<1>から<5>まで、すべて読んだが、その<2>には、たしかに明確に「ロシアには、領土問題はまったくないと思っている。ロシアとの間に領土問題があると考えているのは日本だ」というプーチン大統領の言葉がある。
この全文が日本語のインターネットで公開されたのが2016年12月14日03時46分(取材したのは12月7日)。
すると、その前の時間の「2016-12-13 23:22:00」には「天涯社区」で「プーチン、日本の独占取材を受け:日露間には領土問題は存在しない。日本だけがあると思っている(転載)」で既に転載するというはやわざも見られた。筆者は認識していないが、日本テレビで短い情報を発信したのだろうか。そうでないと、こういう時間の逆転現象は起きない。ネットによれば、日テレのNEWS24が「プーチン大統領 特別インタビュー全文」の全過程を報道したのは、「2016年12月14日 17:42」のようである。
14日には「騰訊視頻(チャンネル)」が「プーチン、明日訪日 日本メディアの独占取材で日露間に領土問題存在せず」というテレビ報道をしており(15秒間、広告を我慢すると始まる)、CCTVや他のウェブサイトも一気に「領土問題は存在しない」としたプーチンの言葉を「鬼の首でも取ったように」報道した。
日本と尖閣諸島において領土問題を抱えている中国としては、プーチン大統領がどう出るかは、大きな関心事だ。
だから、CCTVでは、15日に安倍首相とプーチン大統領が少人数で行なった会談における「極秘」の会話に関して、ロシア大統領府のペスコフ報道官が「二人の間では、そもそも領土問題は語られなかった」と話しているという事実も大々的に報道した。
ネットにも「ロシア大統領スポークスマン:日露首脳会談では領土主権問題は話されなかった」(2016-12-16 15:30:53)など、数多くの関連報道が見られる。