偽ニュース、小児性愛、ヒラリー、銃撃...ピザゲートとは何か
ワシントン・ポストによれば、#pizzagateというハッシュタグがツイッターに最初に現れたのは11月7日だ。その後の数週間、1日に何十万ものツイートが出回ったという。そのうちの異様なほど不釣り合いな分量がチェコやキプロス、ベトナムといった第三国からのツイートで、ボット(自動操作プログラム)も多かったと、米イーロン大学のジョナサン・オルブライト准教授は同紙の取材に答えている。
「コメット・ピンポン」のアレファンティスは噂を強く否定していたが、彼や従業員に対するネット上での嫌がらせ、脅迫は続いた。そして12月4日、デマに触発されて銃撃事件が起こった。
トランプ政権移行陣営から「ピザゲート」発言
事件の余波で1人、トランプの政権移行チームから離脱者が出た。4日の銃撃事件の後、「ピザゲートが嘘だと証明されるまで、この説は話題になり続ける」とツイッターに投稿したマイケル・フリン(33)だ。解雇されたのか辞任したのかは報道が錯綜しているが、6日に職を辞したとBBC は報じた。
彼の父親は、トランプが大統領補佐官(国家安全保障問題担当)への起用を発表した退役陸軍中将のマイケル・フリン元国防情報局(DIA)局長(57)。父親のフリン中将は事件について発言していないが、大統領選中の11月2日には次のようにツイートしていた。「自分で判断してほしい。ニューヨーク市警が新しいヒラリー・メールに関して告発。マネーロンダリング(資金洗浄)、子供との性犯罪など...必読だ!」
偽ニュース問題は尾を引き、これから主要な選挙の続くヨーロッパで特に警戒されているが、アメリカでもまだ終わりではない。トランプ次期政権への影響は息子のフリンだけで済むのか、果てはこれ以上の発展があるのか。ただ確実なのは、一度盛り上がった陰謀論は、いかに荒唐無稽なものでも、あるいはいかに論破されていても、信じ続ける人がずっといるということだ。
【参考記事】偽ニュース問題、米大統領選は始まりに過ぎない?
アポロ11号の月面着陸は嘘だった、地球にはすでに宇宙人が到来している、9.11同時多発テロは米政府の自作自演だった......。偽ニュースとSNSが生み出した「ピザゲート」が、こうした陰謀論の仲間入りを果たし、ずっと語られ続けていく可能性はゼロではない。