難題山積のEUが注目する2017年の顔10人
12月22日、問題山積する欧州が2017年に注目すべき10人の人物とは。写真はベルリンで4月撮影(2016年 ロイター/Fabrizio Bensch)
欧州連合(EU)は内憂外患を抱えた状態で2017年を迎える。領域の東方、西方、南方において幅広い問題を抱える一方で、欧州大陸全域でも反EUを掲げるナショナリストが台頭している。
2017年に欧州が注目する10人の人物は以下の通り。
ドナルド・トランプ次期米大統領
ドナルド・トランプ氏の大統領選における勝利は、ただでさえEU離脱を決めた英国民投票にショックを受けていた欧州の人々をさらに驚かせ、反主流派であるEU懐疑派を勢いづかせた。
1月20日に就任するトランプ次期大統領が、選挙公約を反映した政策を実行するかどうかで、欧州は大きな影響を受けるだろう。経済低迷が政治の不安定要因となっているEUでは、米財政支出の大幅拡大によって景気が上向く可能性がある。だだし、通商政策におけるトランプ氏の保護主義的スタンスは逆の影響をもたらすリスクもある。
トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)への資金提供について不透明な見解を持っており、またロシアとの関係改善を呼びかけていることから、EUは自立的な防衛オプションを模索している。
ポーランド与党「法と正義(PiS)」のヤロスワフ・カチンスキ党首
憲法裁判所の権限を制約することでEU中枢に挑戦したポーランドの右派政権は、EUがその方針を加盟国にどれだけ強制できるのか探るとともに、東西の亀裂を広げつつある。EUは2月末までに方針を変えるようポーランド政府に求めているが、カチンスキ党首は、同国に対する罰則適用について、ハンガリーのオルバン首相などの盟友が拒否権を行使してくれるものと期待している。
ポーランドは旧共産圏に属する東欧諸国を代表する大国だ。英国の外交当局者はEU離脱交渉において東西の亀裂を利用する構えを見せている。ロシア政府は、旧ソ連同盟国を厚遇しているものの、カチンスキ氏は扱いにくい相手だ。2010年にロシアで起きた航空機墜落事故でカチンスキ氏の一卵性双生児の弟で、当時のポーランド大統領だったレフ・カチンスキ氏が亡くなっているが、この事故にロシア政府が絡んでいると見ているからだ。