ロシア通の石油メジャーCEOがトランプの国務長官になったら外交止まる?
民主・共和両党の議員や外交専門家の間では、驚きや不満の声が上がっており、彼らの懸念はティラーソンのプーチンとの関係にほぼ集中している。下院情報委員会の有力メンバーでカリフォルニア州選出のアダム・シフ下院議員(民主党)はツイッターで、「レックス・ティラーソンはプーチンとロシアとの間で広範なビジネス上の取引を抱えており、対ロ制裁の解除を支持している。もし国務長官になれば巨大な利益相反を問われる」と批判した。
アリゾナ州選出のジョン・マケイン上院議員(共和党)は10日、米FOXニュースのインタビューで「ティラーソンがウラジーミル・プーチンとどのような関係なのかが懸念材料だ」と語った。
政治家より目は鋭い?
「ティラーソンが国務長官になれば、冷戦以降のアメリカの外交政策が巨大なスケールで中断されることを意味する」と、ワシントンの有力シンクタンク・カーネギー国際平和財団のロシア専門家ドミトリー・トレーニンは指摘した。
一方で、ティラーソンに外交経験がないことやロシアと深いつながりがあることを問題にしない専門家もいた。「石油業界の出身者には知見がある。数十億ドル規模の資金を管理し、何十年単位のプロジェクトを取り仕切るには、政治的な領域でも微妙なニュアンスが読みとれる深い洞察力が必要だ」と言うのは、エクソンモービルの元アドバイザーで中東地域が専門のスザンネ・マロニーだ。
「ワシントンで幅をきかせる政治家は、国際情勢に関する独占的な知識など持ち合わせていない。その点、エクソンモービルの元同僚たちは、地域の動静を鋭く掴んでいた」