【写真特集】ノーベル平和賞「52年間内戦」コロンビアの今
コロンビア革命軍(FARC)の潜伏拠点フレンテ51にて。恋人同士のダビド・エスピナ(23、手前)とアンドリ・リベラ(31) ※写真はすべてノーベル平和賞展示会「HOPE OVER FEAR」より Photographs by Mads Nissen for Nobel Peace Center/Panos
<12月10日、ノーベル平和賞を授与されるコロンビアのサントス大統領。左翼ゲリラFARCとの和平推進が受賞理由だ。この国は52年間、内戦にむしばまれてきた>
12月10日の午後1時(現地時間、日本では午後9時)から、ノルウェーのオスロでノーベル平和賞の授賞式が行われる。今年の受賞者はフアン・マヌエル・サントス――といっても、ピンとこない人が少なくないかもしれない。
コロンビアの現職大統領である。2009年のバラク・オバマ(米大統領として「核兵器のない世界」を提唱)、2010年の劉暁波(中国の獄中の人権活動家)、2014年のマララ・ユサフザイ(パキスタンでタリバンに立ち向かった少女)といった過去の受賞者に比べ、確かに知名度に劣るところはあるかもしれない。だがサントス大統領は、粘り強い交渉の末、52年にも及んだ同国の内戦を終わらせた人物だ。
「中南米におけるベルリンの壁崩壊」とも形容されるほどのニュースが伝えられたのは、8月だった。コロンビアでは1964年から左翼ゲリラのコロンビア革命軍(FARC)と政府軍との戦闘が続き、推定22万人の死者と数万人の行方不明者を出していた。2010年に大統領に就任したサントスは、2012年にFARCとの和平交渉を開始、4年をかけ、ついに最終合意に達した。
9月26日、同国北部のカルタヘナで和平合意文書の署名式典が開かれた。交渉を仲介したキューバのラウル・カストロ議長や、アメリカのジョン・ケリー国務長官、国連の潘基文事務総長ら各国要人が出席。そして10月2日、和平合意の是非を問う国民投票が行われた。
結果はまさかの否決。反対が50.21%、賛成が49.78%で、反対票がわずかに上回った。テロや誘拐を繰り返したゲリラに対する国民の怒りが根強かったためとされる。これで和平合意の行方が不透明となったが、そこに発表されたのがサントスへのノーベル平和賞授与だった。10月7日のことだ。