最新記事

アメリカ政治

現実路線に変身のトランプに支持者が反旗? 「公約破りなら圧力も」

2016年11月17日(木)10時55分

11月11日、キャスリン・ステルマックさん(69)は、米大統領選で勝利を収めた共和党候補ドナルド・トランプ氏がもたらす世界に期待を寄せている。写真はカリフォルニアでトランプ支持の旗を掲げる人々(2016年 ロイター/Sandy Huffaker)

 キャスリン・ステルマックさん(69)は、米大統領選で勝利を収めた共和党候補ドナルド・トランプ氏がもたらす世界に期待を寄せている。

 トランプ氏の演説を聞いて1票を投じたステルマックさんは、同氏が移民法を厳格化、失われた雇用を回復し、腐敗した政治システムをひっくり返し、国境に壁を築き、言葉どおりに「歴史上最も多くの雇用を生み出す大統領」になることを期待している。

 フロリダ州ウェストパームビーチに暮らす彼女は、「やると約束したことを、すべてやるものと期待している」と語る。「もしやらなければ、圧力をかけてやる。

 大胆ではあるがクルクル変わる政策提案に彩られた大統領選を終えた今、保守的な社会運動家から、生活に苦しむブルーカラー労働者、強硬な武闘派に至る、何百万ものトランプ支持者たちは、もしトランプ政治が従来の政界を叩き壊すようなものでなかった場合には失望する、と口を揃える。

「私たちは彼の行動を見守っている」とステルマックさんは言う。

 トランプ氏の公約は、政策の細部が理解しにくく曖昧であるため、明確にこれと特定することが難しい。NBCニュースは、2015年6月16日の出馬表明以来、23の重要な問題について「はっきりした転換」が141回あったと数え上げている。

 とはいえ、トランプ氏の激烈な語調から、取り違えようのないメッセージは伝わってくる。「大きな政府」と、民主・共和両党の主流派エリートたちの確立された権力に終止符を打つということだ。

 このメッセージは、トランプ氏なら、中央政界の行き詰まりを打破し、経済活性化の計画を前進させ、テロリストの脅威を一掃し、貿易協定を破棄し、オバマ大統領が導入した医療保険制度、いわゆる「オバマケア」を廃止できるのではないかという希望を呼び起こした。

「トランプ氏を全面的に信頼している」とミシガン州マニスティに住むローラ・チャルニアックさん(56)は語る。ミシガン州はいわゆる「ラストベルト」(さびついた工業地帯)で、これまでの大統領選挙では民主党の地盤だったが、8日の選挙ではトランプ氏支持に転じた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、1カ国と貿易協定で合意と商務長官 国名は明かさ

ビジネス

商品価格、26年にコロナ禍前水準に下落 経済成長鈍

ビジネス

米3月求人件数、昨年9月以来の低水準 解雇件数9カ

ビジネス

トランプ氏、ベゾス氏に電話で抗議 アマゾンが関税費
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 6
    中居正広事件は「ポジティブ」な空気が生んだ...誰も…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 8
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 9
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 10
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中