トランプ大統領の誕生 ノルウェーにもいる、静かなる支持者
トランプ支持者が多いのは、右派ポピュリスト政党である与党・進歩党の党員だ。シルヴィ・リストハウグ移民大臣は明確な立場は発言していない。だが、自身のフェイスブックにトランプの選挙スローガンである"Make America Great Again"(アメリカを再び偉大にしよう)と書き、赤い帽子を被る夫の写真を投稿したり、不安を増長させるノルウェーメディアや世間の風潮に対し、「民主主義の結果を尊重するべきだ」という投稿をしている。
トランプ大統領誕生に「驚く」ノルウェーのメディア
●「私たちは怖がるべきか?」(Vart Land)
●「どうして、このようなことが起こった?」(Dagsavisen)
●「おはよう、ではなく、おやすみ、アメリカ合衆国」(Dagbladet)
●「私たちは、今、恐怖に怯えている」(Aftenposten)
これらは選挙結果が明らかになった日の翌日に掲載されたノルウェー各新聞の表紙タイトルだ。
選挙結果が判明する直前、11月9日のノルウェーメディアの見出し。「クリントンなら歴史的!トランプなら、ヒステリー!」 、「悪夢で始まる選挙日」 Photo: Asaki Abumi
メディアが書く、怖がる「私たち」って、誰?
「私たち」は恐怖に怯えている、と記者は書く。確かにそうだろう。世間に名前と顔を出し発言することに、一切ためらいがない人たちの意見だけに耳を傾けるならば。ノルウェー語の「Vi」(ヴィ)=「私たち」とは、誰なのだろう?
誰もが公の場、SNSやメディアで意見を述べたいわけではない。ノルウェーのポピュリスト支持者は、記者を好まない。彼らは、トランプ大統領を怖がってはいない。メディアの描写する「怖がる私たち」に、隠れ支持者は含まれない。
ノルウェーにもいる、隠れ支持者
筆者の周囲にも、トランプ支持者はいる。こういう人に限って、SNSなどでは静かなので、見つけにくい。「本名がでると、就職活動に影響がでるかもしれないから、名前と顔はださない」ことを条件に、記事にその思いを引用させてもらうことになった。
「女性蔑視発言とかは、言うべきではなかったと思う。でも、人間は誰だって失言をしてしまうものだし。トランプの人格どうこうよりも、彼がアンチ・エスタブリッシュメント(反既成勢力)だということのほうが大事だ」。
トランプ支持者であるということを、周囲のノルウェー人に話した時にどう反応されたのだろうか?