トランプ次期大統領とともに躍進する右派ニュースサイト「Breitbart」
フランス、ドイツ版も設立
ともかく、トランプ氏の勝利により、Breibartが一段と勢いづくのは間違いない。Breibart会長であり、トランプ陣営の選挙対策責任者であったバノン氏は、トランプ次期大統領の上級顧問と首席戦略官を兼務することになっている。既存のマスメディアを極度に嫌っていたトランプ氏が、どのようなメディア対策を講じてくるか気になる。当然、BreibartはもちろんとしてFox Newsなどが優遇されるであろうが、NYTimesのようなリベラルなメディアは冷遇されそうである。
Breibartはすでに、図1で誇示しているように、3700万人の月間ユニークユーザー数を擁しているが、トランプ勝利の追い風に乗って、さらなる飛躍を目指す。 Alex Marlow編集長がReutersに語ったところによると、米国内で多くのジャーナリストを採用し始めており、中でもポッドキャストや動画といったマルティメディア・オペレーションを強化し、大量の政治ニュースを発信していきたいと意気込む。新たにTV番組も立ち上げる。
海外展開にも力を入れる。移民/難民やグローバル化に関連して失業/格差問題が深刻化する欧州各国で、ポピュリズム政党が台頭している。フランスの極右政党である国民戦線のルペン氏はその代表格である。トランプ氏やバノン氏が標榜する白人ナショナリズム主義が、欧州でも拡大する素地が整ってきた。そこで、Breitbart Franceと Breitbart Germanyを立ち上げることになった。この設立する狙いを、欧州の主要2国で右派政治家が選ばれるように支援すること、とバノン氏が語ったという(Reutersの記事より)。
【参考記事】フランス極右政党ルペン党首、「トランプのような勝利望む」
また、すでに海外展開の成功事例があるとも主張する。2013年にBreitbart Londonを立ち上げていた。英国のEU離脱のキャンペーンが、ビジネスになると見たからだ。EU離脱運動が盛り上がるにつれて、Breitbart Londonの読者も増えていき、バノン氏が営業して獲得した広告も増えていった。英国のEU離脱を問う国民投票が実施された6月23日には、Breitbart Londonへのトラフィックが殺到したという。
要するに、トランプの勝利も英国のEU離脱も、Breitbartが大きな役割を演じたと言いたいのだろう。さらに同じ流れを、フランスでもドイツでも・・・。トランプ新大統領のメディア戦略を注視していきたい。
◇参考
・Online, Everything Is Alternative Media(NYTimes)
・ドナルド・トランプ氏、「最も危険な政治フィクサー」起用で過激路線復活か(Huffington Post Japan)
・Who are the Biggest Politics Publishers on Social?(NewsWhip blog)
・Trump strongly considering Steve Bannon for chief of staff(CNN)
・Exclusive: Riding Trump wave, Breitbart News plans U.S., European expansion(Reuters)
・Breitbart Beats NY Times, CNN, and Fox News for Election Day Facebook Engagement(Bleitbart)
※この記事は、メディア・パブからの転載です。