部下の話を聞かない人は本当のリーダーではない
唯我独尊タイプのリーダーは潰れやすい
経営者マインドに欠かせなのは、広い視野を持つことだ。「それは私の仕事じゃない」「私にはそんな権限はない」といった考え方では、いつまでたってもリーダーシップは発揮できないし、実際にリーダーの地位に立つこともできない。
平社員でも中間管理職でも、普段から経営者の立場で考えて行動するよう意識していれば、視野が広くなり、洞察力や決断力も向上する。「優れたプロフェッショナルは自分で仕事の範囲を狭めない。数レベル上の立場でものを考えるのだ」と、カプランは強調する。日頃から、そうした心構えで仕事に臨んでいる人は、上司から抜擢されて昇進の機会も得やすい。
経営者になったつもりで考えて行動する──。なんだ簡単じゃないか、誰にでもできると思うだろう。だが世の中にはリーダーシップを発揮できない人は大勢いるし、リーダーとして失格の烙印を押されている人も少なくない。
なぜか? 問題に直面したときに自分の弱みをさらけ出すことができず、孤立を深めているからだとカプランは指摘する。彼によれば、リーダーリップとは結局のところ、「団体競技」。リーダーは周りの協力なしにチームの成功はないことを悟らなければならない。自分の力だけではリーダーになることも、リーダーシップを伸ばすことも難しいのだ。
有無を言わさず部下をぐいぐいと引っ張る強いリーダーが理想だと言う人もいるが、そのような唯我独尊タイプは壁にぶつかったときに潰れやすい。プライドが邪魔して周りに自分の弱さを見せることも、助言を求めることもできないからだ。厄介なことに、昇進して高い地位に就いた人ほど、この傾向は強い。
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カプランは多くの企業役員やCEOたちの相談に乗ってきた経験からこう指摘する。
優秀な人のなかには、リーダーの地位に就いたときに、すべての答えを知っていなければと思い込む人がいます。答えを知っているかのように振る舞わなければ、役立たずだとか、小心者だとか、無能だなどと思われそうで不安なのです。仮に誰かに質問をしたとしても、形だけです。要するに、学ぶつもりで真剣に相手の答えを聴いていないのです。なぜでしょうか? 意見を変えたり、他人の意見に左右されたりすると、意思が弱い人だと思われそうで不安なのです。(p.76より)