最新記事

日本経済

金融庁、地方銀行にビジネスモデル再構築求める 人口減とマイナス金利背景

2016年10月23日(日)11時43分

10月21日、金融庁は、今事務年度の行政方針で、ビジネスモデルに大きな問題を抱える地方銀行に対して具体的な対応を求める方針を明記した。金融庁、2014年撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)

 金融庁は、21日に公表した今事務年度(7月―2017年6月)の行政方針で、ビジネスモデルに大きな問題を抱える地方銀行に対して具体的な対応を求める方針を明記した。

 人口減少社会の到来に加え、日銀のマイナス金利政策の長期化が予想されるなか、財務健全性が良好な今のうちに持続可能なビジネスモデルを構築させるべきとの考えが根底にある。

金融庁、ビジネスモデル検証に積極関与

 行政方針は、ビジネスモデルの持続可能性に大きな課題がある地銀を対象に、経営陣の認識などについて「深度ある対話を行い、課題解決に向けた対応を促す」ことを盛り込み、昨年度の同方針より一段と踏み込んだ表現となった。

 森信親長官の就任直後にまとめられた昨年度の方針では、ビジネスモデルの構築や持続性の検討は銀行自身に任せるスタンスだったが、今回の行政方針では金融庁がビジネスモデル検証に積極的に関与する方針を明示した。

マイナス金利で一段と厳しさ増す経営環境

 こうしたスタンスの変化の背景には、この1年で地銀の経営環境が一段と厳しさを増したことがある。2月に公表された2015年国勢調査の速報値では、1920年の調査開始以来、初めて人口が減少した。とどめを刺したのは、1月の日銀によるマイナス金利政策の導入だ。市場金利は軒並み低下しており、ある地銀幹部は「『5年、10年先の話』と思っていたビジネス環境の悪化が、急に目の前に迫ってきた」と話す。

検査体制も大きく変更

 このため、金融庁は今事務年度から地銀への検査体制も大きく変える。これまでは預金規模ごとに検査チームを分けていたが、今後は、地銀を1)営業地域に多くの貸出先を持つ地域トップ行と、2)持続可能なビジネスモデルの構築が課題となる二番手行に大別。検査チーム当たりの人員は減らし、きめ細かく議論できるようにする。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル首相らに逮捕状、ICC ガザでの戦争犯罪

ビジネス

米新規失業保険申請は6000件減の21.3万件、予

ワールド

ロシアがICBM発射、ウクライナ発表 初の実戦使用

ワールド

イスラエル軍、ガザ北部の民家空爆 犠牲者多数
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 2
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッカーファンに...フセイン皇太子がインスタで披露
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 5
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 6
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    習近平を側近がカメラから守った瞬間──英スターマー…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中