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ダメな会社には「脳外科手術」が必要だ

2016年10月14日(金)12時02分
ジョー・ディバンナ ※編集・企画:情報工場

人間も組織も「違い」に敏感だから

 こうした脳のプロセスは、組織が重要な変化を起こす時に呼び出されるダイナミクスと同じだ。上級管理職が組織のメンバーに「変化する」という意志をいかに"売り込む"かによって、組織が受けるストレスの度合いが変わってくる。こうした"売り込み"のせいで慣れ親しんだルーティンが妨害を受けたり、止めるように言われたり、まったく異なるかたちに変えさせられる、といったことがあると、組織のメンバーは「何も考えない運転」ができなくなる。そうなると、彼らは自分の意思決定に自信がもてなくなり、「変化」に抵抗するようになる。

 脳の機能を研究している学者たちは、人間の脳が「違い」に敏感であることを指摘している。脳が「違い」を感知することで、人は感情的、あるいは衝動的な行動に走りがちだ。組織も同じだ。変化の「売り込み」が適切になされないと、組織の人々は、何を期待すればいいか、どんなインパクトが想定されるかがわからない。その結果、あまり適切でないリスクをとることにもなりかねない。そのリスクとは、たとえば安易な値引きや抱き合わせ販売などを指す。

 管理職にとって重要なのは、変化をすんなり受け入れられるようになるまで、組織のワーキングメモリーを育てていくことだ。業務プロセスの改善に関する機能を「異物」ではなく、企業が共有する歴史の一部と感じられるようにしなければならない。リーダーは熟練した外科医であるべきだ。組織の脳の限界を超える危険な手術を行ってはならない。今ある機能を使って修復、改善していくことが大事なのだ。

[執筆者]
ジョー・ディバンナ Joe DiVanna
ケンブリッジ大学チャーチル・カレッジのモラー・バイフェロー(フェローの推薦により招聘される研究員)で、イノベーション研究を行うMaris Strategies Limitedの経営幹部を務める。

© 情報工場
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※当記事は「Dialogue Q3 2016」からの転載記事です

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情報工場
2005年創業。厳選した書籍のハイライトを3000字にまとめて配信する書籍ダイジェストサービス「SERENDIP(セレンディップ)」を提供。国内の書籍だけではなく、エグゼクティブ向け教育機関で世界一と評されるDuke Corporate Educationが発行するビジネス誌『Dialogue Review』や、まだ日本で出版されていない欧米・アジアなどの海外で話題の書籍もいち早く日本語のダイジェストにして配信。上場企業の経営層・管理職を中心に約6万人のビジネスパーソンが利用中。 http://www.joho-kojo.com/top

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