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【2016米大統領選】最新現地リポート

選挙ボランティアから見える、大統領選「地上戦」の現状

2016年10月6日(木)17時30分
渡辺由佳里(エッセイスト)

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ヒラリーの選挙ボランティアに参加した同性婚カップル(筆者撮影)

 日本では馴染みが薄いこの「地上戦」について、簡単に説明しよう。地域により異なるが、基本的には次のような活動だ。

1)家を一軒一軒訪問して投票を呼びかけるキャンバシング(canvassing)
2)電話で有権者に語りかける電話バンキング(Telephone Banking)
3)有権者登録(voter registration)の促進

 アメリカには住民票はなく、投票するためには有権者登録をしなければならない。だが、州によっては、パスポートや運転免許証のような本人を確認できるIDが必要な場合がある。とくに、民主党の支持基盤である低所得者や高齢者はIDを持たない人が多い。彼らが登録するのをサポートすることで、結果が大きく変わる場合がある。

 スイング・ステートのニューハンプシャー州は、2000年大統領選の勝敗を決めた州として知られる。ジョージ・W・ブッシュが7000票という僅差でアル・ゴアを破ったが、「どちらが大統領になっても変化はない」と左寄りのリベラルに呼びかけた緑の党のラルフ・ネーダーが2万2000票も獲得した。ネーダーがゴアからこれだけ多くの票を奪わなければ、ゴアが大統領になっていたはずだったのだ。ニューハンプシャー州に割り当てられた選挙人はたった4人だが、それほど重要な州だ。

 筆者は、このニューハンプシャー州で、1)のキャンバシングを体験取材してきた。

 ポーツマス市の民主党キャンペーン事務所に集まったボランティアを前に、ニューハンプシャー州元知事で現上院議員のジーン・シャヒーンの長女ステファニーが、「ニューハンプシャーは選挙結果を左右するかもしれない重要な州だ。あなたたちボランティアの働きにかかっている」という内容の短いスピーチをした後、未経験者はスタッフから「キャンバシング」のやり方についてトレーニングを受けた。

 その内容は次のようなものだ。

【参考記事】戦死したイスラム系米兵の両親が、トランプに突きつけた「アメリカの本質」

■まず自己紹介をする。給与をもらっているスタッフではなく、民主党のボランティアであることを明らかにする。

■11月の選挙では、投票するかどうか、そして、投票する場合の意向についてたずねる。まずは大統領、次に上院議員、知事、下院議員。

■自分の意見を言わず、相手が話したいことを話させる。耳を傾けることが重要。

■決断を迷っている人がいて、話を聞いてくれそうな態度であれば、ヒラリーの政策などについて語る。

■相手の意見を決して否定してはならない。「共和党に決めている」など、門前払いの態度の人がいたら、相手の心を変えようとせず、「お時間ありがとうございました」と丁重に礼を言って去る。

■候補を代表しているということを忘れず、礼儀正しくふるまう。

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