ドゥテルテ比大統領、自らのアメリカ批判に「中ロが賛同」と明かす
防衛協定への疑義
ドゥテルテ大統領はまた、大統領が誰も署名しておらず、法的な拘束力に疑義があるとの理由で、2014年に米国とのあいだで締結された防衛協定を見直す考えがあることを明らかにした。
ドゥテルテ大統領の発言は、カーター米国防長官が先月29日に「堅固」と呼んだ歴史的な米比同盟の限界に挑戦し、それを試す意図が大統領にあることを示している。
ドゥテルテ大統領はその前日、今週から行われる米軍とフィリピン軍との合同軍事演習が「最後になる」と述べていた。
米国との防衛協力強化協定は2014年、オバマ大統領によるフィリピン訪問の直前に締結され、海上警備や人道支援・災害救援向けの貯蔵施設を米軍が建造することが認められている。同協定は、米軍にフィリピン軍基地への幅広いアクセスを保障している。
ドゥテルテ大統領は、同協定が米大統領ではなく、米国大使と当時のフィリピン国防相のあいだで署名されたと指摘し、見直す意向を示した。
ドゥテルテ大統領は、協定そのものを破棄するとは明確に述べなかったが、米国向けの談話のなかでこう述べた。「協定にはフィリピン大統領の署名がない。私はあなた方すべてにフィリピンから出て行ってくれとお願いしている。なので、もう一度よく考えた方がいい」
これに対し、米国防総省は、米国とフィリピンには防衛問題に一緒に取り組んできた長い歴史があり、ハワイで先週行われたカーター国防長官とフィリピンのロレンザーナ国防相との会談は「前向き」だったとコメントした。
米国防総省のピーター・クック報道官は「われわれは引き続き、同盟へのコミットメント(関与)を履行し続ける。フィリピンにも同じことを期待している」と述べた。「われわれは、フィリピンが有しているあらゆる懸念に取り組むため、同国政府と引き続き密接に連携していく」
この協定に基づき、C-130輸送機2機と米軍人100人が9月25日以来、2週間の合同軍事演習の一環としてフィリピン中部の空軍基地に駐留している。
アナリストは、この協定がある程度、中国による南シナ海進出の動きを防ぐ抑止力になるとみている。