最新記事

フィリピン

ドゥテルテ比大統領、自らのアメリカ批判に「中ロが賛同」と明かす

2016年10月3日(月)19時40分


防衛協定への疑義

 ドゥテルテ大統領はまた、大統領が誰も署名しておらず、法的な拘束力に疑義があるとの理由で、2014年に米国とのあいだで締結された防衛協定を見直す考えがあることを明らかにした。

 ドゥテルテ大統領の発言は、カーター米国防長官が先月29日に「堅固」と呼んだ歴史的な米比同盟の限界に挑戦し、それを試す意図が大統領にあることを示している。

 ドゥテルテ大統領はその前日、今週から行われる米軍とフィリピン軍との合同軍事演習が「最後になる」と述べていた。

 米国との防衛協力強化協定は2014年、オバマ大統領によるフィリピン訪問の直前に締結され、海上警備や人道支援・災害救援向けの貯蔵施設を米軍が建造することが認められている。同協定は、米軍にフィリピン軍基地への幅広いアクセスを保障している。

 ドゥテルテ大統領は、同協定が米大統領ではなく、米国大使と当時のフィリピン国防相のあいだで署名されたと指摘し、見直す意向を示した。

 ドゥテルテ大統領は、協定そのものを破棄するとは明確に述べなかったが、米国向けの談話のなかでこう述べた。「協定にはフィリピン大統領の署名がない。私はあなた方すべてにフィリピンから出て行ってくれとお願いしている。なので、もう一度よく考えた方がいい」

 これに対し、米国防総省は、米国とフィリピンには防衛問題に一緒に取り組んできた長い歴史があり、ハワイで先週行われたカーター国防長官とフィリピンのロレンザーナ国防相との会談は「前向き」だったとコメントした。

 米国防総省のピーター・クック報道官は「われわれは引き続き、同盟へのコミットメント(関与)を履行し続ける。フィリピンにも同じことを期待している」と述べた。「われわれは、フィリピンが有しているあらゆる懸念に取り組むため、同国政府と引き続き密接に連携していく」

 この協定に基づき、C-130輸送機2機と米軍人100人が9月25日以来、2週間の合同軍事演習の一環としてフィリピン中部の空軍基地に駐留している。

 アナリストは、この協定がある程度、中国による南シナ海進出の動きを防ぐ抑止力になるとみている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

イスラエル軍がガザ全土を攻撃、少なくとも17人死亡

ワールド

韓国に大雪、5人死亡 首都圏で40センチ超積雪

ワールド

OPECプラス、生産政策会合を12月5日に延期

ワールド

インド議会、財閥アダニ巡る混乱収まらず 野党が疑惑
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:老けない食べ方の科学
特集:老けない食べ方の科学
2024年12月 3日号(11/26発売)

脳と体の若さを保ち、健康寿命を延ばす──最新研究に学ぶ「最強の食事法」

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式トレーニング「ラッキング」とは何か?
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    「時間制限食(TRE)」で脂肪はラクに落ちる...血糖値改善の可能性も【最新研究】
  • 4
    黒煙が夜空にとめどなく...ロシアのミサイル工場がウ…
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    「健康寿命」を2歳伸ばす...日本生命が7万人の全役員…
  • 7
    「健康食材」サーモンがさほど健康的ではない可能性.…
  • 8
    バルト海の海底ケーブル切断は中国船の破壊工作か
  • 9
    谷間が丸出し、下は穿かず? 母になったヘイリー・ビ…
  • 10
    未婚化・少子化の裏で進行する、「持てる者」と「持…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 4
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 5
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではな…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    リュックサックが更年期に大きな効果あり...軍隊式ト…
  • 10
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中