老朽化するアメリカ核戦力、次期政権に降りかかる巨額更新費用
米シンクタンク、戦略予算評価センターのエバン・モンゴメリー上級研究員によれば、予定されている近代化のかなりの部分はほぼ停滞状態にある。新型兵器の投入が必要であり、その一部はかなり先の話になるからだ。
モンゴメリー氏は、B21長距離戦略爆撃機と、海軍が保有するオハイオ級弾道ミサイル原子力潜水艦14隻の代替となる新型戦略原潜は「最も高額な兵器だが、多くの点で最も安全であることはほぼ間違いない」と指摘する。B21は通常兵器・核兵器の双方を搭載することができ、新型戦略原潜は、敵国からどのような先制攻撃があろうと生存できるため、最優先と考えられている。
海軍では、1981年に初就役となったオハイオ級原潜(個別誘導多弾頭型の「トライデント」ミサイルを最大24発搭載)を、12隻の新型潜水艦に置き換える計画であり、コストは約1000億ドルとされている。
カーター国防長官は26日に行った演説のなかで、ほとんどの人は理解していないが、核戦力プログラムへの支出は国防予算のなかではわずかな比率でしかないと述べた。国防専門家によれば、国防総省の予算は現在、年間6000億ドル前後であり、核戦力への支出はピーク時でも国防総省予算の約5%を占めるにすぎないだろうという。
それでも資金不足は大きく、国防総省の巨額の予算をもってしても、次期大統領は避けがたいジレンマに直面しそうだ。
オバマ政権で国防次官(政策担当)を務めたジェームス・ミラー氏は、「私の考えでは、当該の時期にグローバル戦略を遂行するために必要な資金に比べ、数百億ドルは不足しているのは確実だ」という。「もはや細かい帳尻合わせのレベルではなくなっている」
(翻訳:エァクレーレン)
[マイノット空軍基地(米ノースダコタ州) 26日 ロイター]