トランプの新政策が物語る「大衆の味方」の大嘘
だがこれは、彼が掲げる大幅な法人税減税(株主に利益をもたらす)を無視した発言だ。実際、ニューヨーク経済クラブで話を聞いていた、明らかに中流層でない人々は、トランプが法人税の最高税率を35%から15%に引き下げると言うと喜びの声を上げた。トランプはさらに、億万長者にしか関係のない相続税の廃止も公約にしている。
新たな経済政策でどのように利益が分配されるかは、シンクタンクなどの評価を待ったほうがいい。それでも、金持ち優遇であることだけははっきりしている。保守系シンクタンク、税財団のアラン・コールによれば、歳入減の半分は法人税と相続税の減税によるものになりそうだ。
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トランプは講演で、幅広い産業の規制緩和についても時間を割いた。彼はオバマ政権の温暖化ガス排出規制を否定しているし、10年に成立した金融規制改革法(ドッド・フランク法)を廃止する意向も示している。ロビイストには夢のような話だ。
トランプと共和党主流派の意見が合わない経済課題もある。貿易だ。彼はここでもアメリカの労働者を守ると騒いでいるが、実際の提案はそれほど強烈なものではない。中国製品への関税強化も貿易協定に違反した国への訴訟強化も、かつての大統領候補が言ったり、オバマ政権がやったりしてきたものだ。
結局のところトランプは、上位1%の富裕層を助ける政策を「大衆のための政策」と偽っている。ニューヨーク経済クラブで講演を聞いた金融関係者たちが、気に入らないわけがない。
© 2016, Slate
[2016年9月27日号掲載]