大統領選の知られざる争い 候補者は自身の健康とどう戦い折り合うか
クリントン陣営の側近によれば、ここ数週間、ブルックリンの本部に詰めているスタッフ数人が病気になり、治療が必要になったという。
カンザス大学で肺疾患の研究を専門とするスティーブン・シンプソン氏は、大統領選の候補たちは特に病気にかかりやすいと言う。
「普通の患者は、余裕があれば、その週は休んで職場へ完全復帰する」と同氏は言う。「だが、大統領候補にそうしろと言えるだろうか」
オバマ氏のハンカチ
オバマ大統領は2008年8月、民主党の全国党大会直前に風邪をひいた。ユーチューブに掲載されている動画には、ある党員集会でクシャミをしているオバマ氏の姿が映っている。「だから私はハンカチを持ち歩いていた」とオバマ氏は言う。
「候補や陣営幹部はみな病気にかかる。だが何日も休むというわけにはいかない」とオバマ氏の元側近ダン・ファイファー氏は語る。「ビタミンCを取って、よく寝るよう努める。だが、これでは負け戦だ」
2008年の大統領選をオバマ氏と争ったジョン・マケイン氏の場合、遊説に医師の友人を帯同することがあった、と陣営幹部だったスティーブ・シュミット氏は話す。
「ホワイトハウスや大統領選の陣営で働く上での秘密の1つは、そこで出回っている薬の数が、これ以上ないほど、エルビス・プレスリーのツアーに近いものがあるということだ」とシュミット氏は言う。「常に、思いつく限りの抗生物質と風邪薬、ありとあらゆる薬を詰め込んだ大きなバッグを持ち歩いていた」
2012年に共和党の大統領候補指名を受けたミット・ロムニー氏は、タンパで開催された共和党全国党大会で指名受諾演説を行う数日前に呼吸器系の疾患にかかった。
「喋ることさえできないのではないかと本当に心配した」とロムニー氏の上級顧問を務めていたスチュアート・スティーブンス氏は当時を振り返る。「医師たちは休めという。だがそんな暇はない」
過酷なスケジュールのせいで、スティーブンス氏自身も、2012年の選挙戦が終わった直後に肺炎を発症したという。