バルニエ仏内閣が崩壊危機、来年予算案巡る議会との折衝難航で
フランスのバルニエ首相が率いる内閣は2025年予算案の議会承認に向けた折衝で難航しており、前途が危ぶまれている。写真はバルニエ首相。パリで21日撮影。(2024年 ロイター/Abdul Saboor/File Photo)
Elizabeth Pineau
[パリ 27日 ロイター] - フランスのバルニエ首相が率いる内閣は2025年予算案の議会承認に向けた折衝で難航しており、前途が危ぶまれている。
複数の政界関係者の話では、極右政党の国民連合(RN)と左派連合のどちらも不信任案で賛成に回った場合、内閣がクリスマス前か、早ければ来週中にも崩壊する可能性がある。
これらの関係者は、バルニエ首相が続投できるとしても、今のところ内閣を支持しているRNから要求されている歳出削減の取り組み圧縮を受け入れた場合に限られると指摘。そうすればフランスの財政基盤をさらに弱め、投資家にとってのフランスの魅力を低下させかねないとの見方を示した。
バルニエ内閣はフランスが半年前のような政治危機に再び陥るのを避けようと、RNや他の政治勢力と精力的な交渉を続けているものの情勢は流動的だ。
バルニエ首相は26日のテレビのインタビューで現在の状況について「極めて憂慮される」と語り、内閣が倒れれば金融市場で非常に深刻で荒れた事態が生じると警告した。
地元紙パリジャンは26日、マクロン大統領が側近に「内閣は崩壊する」と告げたと伝え、大統領府が慌てて否定する場面もあった。
市場ではフランス国債のリスクプレミアムが2012年のユーロ危機以来の大きさになり、銀行株が足を引っ張る形でCAC40指数が下落した。
600億ユーロ(628億5000万ドル)の増税と歳出削減を通じて財政赤字拡大に歯止めをかける措置が盛り込まれた来年予算案は,国民議会(下院)で否決された。現在は元老院(上院)で審議されている。
予算成立期限が12月半ばに迫る中で、バルニエ首相は憲法上の規定を用いて議会の採決を得ずに予算承認手続きを終える意向を示唆。ただ、これを強行すれば不信任案が提出されるのは確実だ。
RNを事実上率いるマリーヌ・ルペン氏と同氏の支持者は、家計や中小企業、年金受給者らの生活を守るためにRNが掲げている要求が通らなければ倒閣に動くとバルニエ氏に圧力をかけている。