最新記事
謀略

バルト海の海底ケーブルは海底に下ろした錨を引きずって切断された? 中国船船長はロシアに買われたか聴取

Chinese vessel allegedly drags anchor, severs undersea cable links

2024年11月28日(木)13時49分
アミル・ダフタリ、 ジョン・フェン
中国船「伊鵬3」の衛星画像

米ランドサットが捉えたカテガット海峡の衛生画像。赤が中国船「伊鵬3」、緑がデンマークとドイツの艦船とみられる U.S. Geological Survey vs Sentinel Hub

<NATOの複数艦船に取り囲まれた中国船「伊鵬3」の船長に、欧州当局の捜査員が誰の指示で切断したかなどを聴取する意向>

バルト海で海底ケーブル2本が相次いで破断した問題について、中国の貨物船「伊鵬3」がこれらを意図的に切断した疑いが持たれており、NATOの複数の軍艦が1週間以上にわたって同貨物船を包囲して監視を行っている。

米ウォール・ストリート・ジャーナル紙によれば、現在調査が進められているこの事件は海洋と通信インフラの安全保障に関わる問題として注目を集めており、中国と欧州各国の間に緊張をもたらしている。

本誌はこの問題について中国外務省にメールでコメントを求めたが、これまでに返答はない。

欧州の捜査当局者らは、ロシア製の肥料を積んでいた全長225メートルの貨物船「伊鵬3」が11月17日〜18日にかけて、錨を下ろして引きずったまま160メートル以上航行し、スウェーデンとリトアニア、さらにドイツとフィンランドを結ぶ海底ケーブルを切断したと考えている。

ある捜査関係者は「船の錨が下ろされ、引きずられている状態であることに船長が気づかなかったとは考えにくい」と指摘した。

中国の寧波伊鵬海運が所有する「伊鵬3」は、11月15日にロシアのウスチ・ルーガ港を出港した。

捜査員らはロシアの情報機関が「伊鵬3」の船長に何らかの影響を与えた可能性を調べており、今回の海底ケーブル切断について、ロシアがヨーロッパの重要インフラを標的にした組織的な攻撃の一環である可能性も考慮に入れている。

展覧会
奈良国立博物館 特別展「超 国宝―祈りのかがやき―」   鑑賞チケット5組10名様プレゼント
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 6
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 7
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 10
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 6
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中