ワシントンで「毛沢東」国際シンポジウム――日本軍と共謀した事実を追って
それはやがて、中国脅威論として、逆に戦争の火種を生んでいくだろう。
したがって、二度と戦争を起こさないようにするためにも、中国が毛沢東と中国共産党の歴史の真相を認めることは非常に重大なのである。
ただ、それを認めたが最後、中国共産党政権は、その瞬間に崩壊するので、事実を隠ぺいするために中国は覇権を強化する以外に、実は「退路がない」のである。だから南シナ海だけでなく尖閣を含めた東シナ海、そして一帯一路など、ひたすら覇権を拡張させている。「軍事的」にも、「経済的」にも、さらに孔子学院を全世界に広めたり世界文化遺産などの手段を使って「精神文化的」にも、その覇権は拡張するばかりだ。
それがいかに危険なものであるかは、説明するまでもあるまい。
このように、毛沢東の真相は過去の歴史ではなく、現在の日中関係そのものであり、未来の国際社会に潜む危険性をあぶりだしていることを、多くの人に理解していただきたいと切望している。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。