トランプとトランプ陣営、「移民演説」の解釈で大混乱
Nancy Wiechec-REUTERS
<アリゾナ州フェニックスで8月31日にトランプが行った移民についての演説は、一時のソフト路線から再び強硬路線に戻ったかのように過激な内容だった。陣営は釈明に追われたが、その言い分を聞けば聞くほど、何が本当なのかわからなくなる>(写真はフェニックスでの演説の日に行われた反トランプ派のデモ)
米共和党の大統領候補ドナルド・トランプの移民対策が迷走している。トランプは8月に入って移民に対する厳しい姿勢を和らげていたが、先週水曜日に米アリゾナ州フェニックスで行った演説で、再び過激な言葉を連発したばかり。
それにもかかわらず、日曜の朝相次いで報道番組に出演したトランプの側近2人が、「不法滞在者はだれであろうと国外退去させる」と言ったトランプの発言の釈明に追われた。トランプの政策は不法移民の中でも「犯罪者」だけを対象にしており、推定1100万人の不法移民を一斉に国外退去させるものではないと主張したのだ。
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トランプの懐刀で元ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニは、米CNNの番組「ステート・オブ・ザ・ユニオン」に出演、フェニックスでのトランプの演説は、出馬当初からの移民に対する強硬路線に戻るものだという見方を否定した。トランプは移民の家族を引き裂くことを望んでいないとも念を押した。
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もう1人、トランプ陣営の選挙対策責任者のケリーアン・コンウェイも米ABCニュースの「ディス・ウィーク」で、犯罪者の不法移民を国外退去させた後に、国内に残る不法滞在者への対応をどうするかは定かでないと語った。
誰であろうと容赦はしない
だが、水曜のトランプの演説は極めて明解。あいまいなところなどどこにもなかった。
「トランプ政権では、あらゆる移民法を動員する。他の法律と同様、優先順位はつける。ただし今のオバマ政権とは違い、誰であろうと一切容赦しない。(強制送還を取り仕切る)米移民税関捜査局(ICE)や国境警備隊の職員には、本来の職務を執行してもらう。アメリカに不法入国した者は誰であろうと国外退去処分にする。それでこそ法律であり、それでこそ国家だ。現在アメリカで在留資格を求めている不法移民に残された道は一つしかない。母国に帰り、新たな移民制度のルールに従い、再入国を申請することだ」。
さらにトランプは、メキシコとの国境に壁を造り、その費用はメキシコに払わせるという持論を繰り返した。
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ジュリアーニは最近、トランプの移民政策が軟化する可能性を示唆していた。だが彼は、アリゾナでのトランプの演説について、言葉は荒々しい印象になっても最近の柔軟な方針から逸脱はしていないと主張した。「注意して演説を読み返せば、発言は一貫しているのが分かる。それに彼が不法移民と言っているのはほとんどの場合、犯罪を犯した不法移民のことだ」