インドはなぜ五輪で勝てない?
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<リオ五輪のメダル獲得数が2個に終わったインド。中国とならぶ「新興大国」が国際大会で活躍できない理由>(写真はリオ五輪開会式のインド選手団)
取り立てて予想外の出来事ではないが、リオデジャネイロ五輪でインドはメダル数という意味で惨敗を喫した。それも欧米諸国だけでなく、中国やブラジルといった同じ新興国と比べても、大きく見劣りのする「2個」に終わったのだ。
あるコメンテーターは、「インドが1900年以降オリンピックで獲得したメダル数は、(アメリカの競泳選手)マイケル・フェルプスが獲得したメダル数と同じ」と指摘した(いずれも28個)。
なぜ、インド選手はオリンピックでもっと好成績を挙げられないのか。政府に強化プログラムを組む予算がないはずはない。何しろインドは、月や火星に探査機を送り込むカネはある。近年の中間層の拡大で、個人トレーナーやエアコン付きのジムの利用者も増えた。
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もちろんリオでのインド選手の活躍を軽視するつもりはない。多くは行政当局の無関心と怠慢を乗り越え、ほぼ自力で戦ってきた。その結果、バドミントン(女子シングルス)でシンドゥ・プサルラが銀メダルを、レスリング(フリースタイル女子58キロ級)でサクシ・マリクが銅メダルを獲得した。
インドの女子体操選手として52年ぶりの五輪出場を果たしたディパ・カルマカルは、跳馬で4位と善戦。18歳の女子ゴルフ選手アディティ・アショクは決勝ラウンド進出を果たした。女子3000メートル障害に出場したラリタシバジ・ババルは、陸上競技で決勝に残った2人目のインド人女性となった。
リオで好成績を挙げたインド人選手に共通するのは、全員女性であること。彼女たちは、当局の怠慢だけでなく、男子選手のほうがもてはやされる社会的風潮も乗り越えてきた。
実際、「インドには今もオリンピック規格の平均台や段違い平行棒がない」と、カルマカルは嘆く。マリクの出身地である北部のハリヤナ州では、ごく最近まで女性がレスリングの試合に出場することに大きな反発があった。
クリケット以外は関心なし
インド選手がオリンピックで好成績を挙げられない背景には、構造的な理由がある。例えば、多くの人が栄養不良でスポーツをやれる状態にない点や、運動を楽しむ習慣もないことだ。クリケット以外は、高校や大学でスポーツが重視されておらず、世界レベルの選手には不可欠のスポーツの早期教育がないこともネックになっている。