最新記事

中国

没後40年、現代中国の市場経済優先に抵抗する毛沢東主義者

2016年9月12日(月)10時02分

 中国外務省はこれらのイベントから距離を置いており、海外在住の中国人により企画されたものだと述べている。

 毛沢東ファンの一部は、中国国内でもイベントを企画している。その1人がテレビ評論家でブロガーの司馬南氏だ。共産党擁護派の同氏は、あからさまな反対意見は控えつつ、毛沢東を称賛している。

 司馬氏はロイターの取材に対し、書道展と、毛沢東と面識があった人々が参加するシンポジウムを開催すると語った。

 司馬氏は習主席が毛沢東を軽視しているとも考えておらず、実際のところ習主席を支持している。だが、今日の中国に見られるような一攫千金志向ではなく、平等主義や一般大衆の尊重という毛沢東の考え方を無視しているせいで問題が生じているという点は明確に主張している。

「毛沢東思想から逸脱していることが、腐敗がますます深刻化していることの重要な理由だ」と彼は言う。

毛沢東の時代

 共産党内では改革の方向性について議論はあるものの、習主席の支配に対して左派勢力からの本格的な挑戦の動きは見られない。

 かつて党指導者の座を争う候補と目され、新毛沢東主義の旗を掲げた人物として元「重慶派」の薄熙来氏がいるが、2013年に汚職と権力乱用の容疑で無期懲役の判決を受けている。

 失脚以前、薄被告は毛沢東の影響に基づく左派的な考え方を信奉しており、思い切った平等主義的な公約を掲げていた。支持者によれば、彼は権力闘争の犠牲になったのだという。

 薄被告の裁判への抗議を人々に呼びかけたとして2013年に拘束された記者Song Yangbiao氏は、ロイターの取材に対し、9日は毛沢東関連のイベントに参加する予定だったが、理由を明示しないまま中止になってしまったと話している。

「党は毛沢東を大切にしていない」とSong氏は言う。「毛沢東の時代に汚職があっただろうか。もちろんなかった」

(翻訳:エァクレーレン)

Ben Blanchard

[8日 北京 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米ゴールドマン、今春1400人規模の人員削減へ=関

ワールド

中国、今年の国防費は7.2%増 引き続き経済成長目

ワールド

米副大統領、英仏侮辱を否定 ウクライナ平和維持部隊

ビジネス

欧州防衛企業、米のウクライナ支援停止後の兵器穴埋め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
特集:進化し続ける天才ピアニスト 角野隼斗
2025年3月11日号(3/ 4発売)

ジャンルと時空を超えて世界を熱狂させる新時代ピアニストの「軌跡」を追う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 2
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政権の対カナダ25%関税
  • 3
    イーロン・マスクの急所を突け!最大ダメージを与える方法とは?
  • 4
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 5
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 6
    バンス副大統領の『ヒルビリー・エレジー』が禁書に…
  • 7
    「70年代の日本」を彷彿...発展を謳歌する「これから…
  • 8
    著名投資家ウォーレン・バフェット、関税は「戦争行…
  • 9
    米大統領執務室での「公開口論」で、ゼレンスキーは…
  • 10
    米ウクライナ首脳会談「決裂」...米国内の反応 「ト…
  • 1
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    イーロン・マスクへの反発から、DOGEで働く匿名の天才技術者たちの身元を暴露する「Doxxing」が始まった
  • 4
    ニンジンが糖尿病の「予防と治療」に効果ある可能性…
  • 5
    イーロン・マスクのDOGEからグーグルやアマゾン出身…
  • 6
    「浅い」主張ばかり...伊藤詩織の映画『Black Box Di…
  • 7
    アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政…
  • 8
    「絶対に太る!」7つの食事習慣、 なぜダイエットに…
  • 9
    富裕層を知り尽くした辞めゴールドマンが「避けたほ…
  • 10
    ボブ・ディランは不潔で嫌な奴、シャラメの演技は笑…
  • 1
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 8
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン…
  • 9
    細胞を若返らせるカギが発見される...日本の研究チー…
  • 10
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中