巨額の追徴課税、アップルは悪くない
Clodagh Kilcoyne- REUTERS
<アマゾンやマクドナルドも調査中で、米政府もカンカン。これはEUとアイルランドの問題だ>
2015年度の売上高が2340億ドルと好調だった米アップル。だがここにきて、同社の税逃れをやり玉にあげるEU(欧州連合)に、145億ドルもの追徴金を支払わされる可能性が出てきた。
欧州委員会は30日、アップルがEU域内で上げた利益に対し、2003~14年の間に1%しか法人税を払っていなかった。たった0.005%という年もあった。極度に低い税率は違法な補助金に当たると判断したのだ。
アップルは1980年からアイルランドに子会社を置き、欧州の企業活動の拠点としている。同国の法人税率は12.5%で、アップルの子会社にかかる税率はそれを大幅に下回っていた。足りなかった分は、アイルランド政府がアップルから取り戻すべきだというのだ。
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「EUの加盟国が特定の企業を税制面で優遇することは許されない。これはEUの補助金規制の下では違法だ。欧州委員会の調査は、アイルランド政府がアップルに対して違法な法人税の優遇措置を適用し、アップルが長年にわたり他企業と比べてはるかに少ない税金を納めるのを容認していたと結論付けた」と、デンマークのマルグレーテ・ベステアー欧州委員(競争政策担当)は声明を発表した。
アマゾンやマクドナルドも
アップルに対する巨額の追徴税は、EU域内で事業を展開するアマゾン・ドットコムやマクドナルドといった他の米企業にとっても脅威だ。事実、EUはこの2社についても公平な額の税金を納めているかどうかの調査を進めている。
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EUの決定で、オバマ米政権の立場も苦しくなった。バラク・オバマ大統領としては、米企業に国内に留まってもらい米国側の税収を確保したい反面、EU側がヨーロッパに進出する米企業を狙い撃ちして税金を吸い上げるのも許しがたい(米企業がEUに納める税金が増えれば、二重課税を回避するためにはその分米国内の税収減につながりかねない)。米財務省は30日、EUの決定に失望したと発表した。
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米共和党の議員もオバマの失望を共有する。ポール・ライアン米下院議長は声明で次のように述べた。「ひどい決定だ。ある企業に対し、何年も経った後に今さら巨額の追徴税を突き付けて制裁を科すことがまかり通れば、大西洋をはさむ両地域の雇用創出に向けて誤ったメッセージを送るのは間違いない。多くのヨーロッパ諸国の税制からも逸脱するものだ」