トランプの「ロシア通」外交顧問カーター・ペイジとは何者?
8月24日、米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏(写真)は、外交政策アドバイザーの1人として、ほぼ無名のエネルギー業界コンサルタントを任命した。だが、この人物のかつての上司は面食らっている。ミシシッピ州で撮影(2016年 ロイター/Carlo Allegri)
米大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏は、外交政策アドバイザーの1人として、ほぼ無名のエネルギー業界コンサルタントを任命した。だが、この人物のかつての上司は面食らっている――10年前にモスクワで知り合った彼は、どちらかと言えば経験の浅いバンカーだったのに、大統領候補のアドバイザーとして適任なのだろうか、と。
このアドバイザー、カーター・ペイジ氏は、かつて米投資銀行メリルリンチの社員としてロシアで働いていた。現在、同氏が経営する会社のウェブサイトには、ロシア国内の最大手エネルギー企業グループがいくつか絡む「重要な」取引についてアドバイスを提供したと書かれており、2004年から3年間にわたるロシア駐在時代を華々しく表現している。
だが、ペイジ氏のロシア駐在が終わろうとするころにメリルリンチのモスクワ事業を統括したセルゲイ・アレクサシェンコ氏は、難しい米ロ関係についてアドバイザーを務めるほどの経験がペイジ氏にあるのか疑わしいという。
「奇妙な人選のように私には思える」とアレクサシェンコ氏は言う。同氏は1990年代に財務次官、中央銀行副総裁を務めた後、2006年から2008年にかけてメリルリンチ・ロシアの経営にあたった。「カーターは外交政策や米ロ関係について議論するような人物ではなかった」
トランプ氏が3月にアドバイザーに任命したペイジ氏の業績は、彼がメリルリンチ退社後に立ち上げた企業、グローバル・エナジー・キャピタル社(本社ニューヨーク)のウェブサイトにまとめられている。ロイターがロシア駐在時代について同氏に問い合わせたところ、回答は得られず、またメリルリンチもコメントを拒否した。
ロイターがトランプ陣営の広報担当者ホープ・ヒックス氏に問い合わせたところ、選挙運動においてペイジ氏は大きな役割を担っていないとのことだった。「ペイジ氏は、数カ月前に、もっと大人数のグループの一員として指名された非公式アドバイザーだ。何か公式な立場で陣営を代弁、あるいは代表する人間ではない」とヒックス氏は語った。