中国、安倍首相のアフリカ訪問を警戒――日本を常任理事国入りさせてはならない!
だから毛沢東時代は、ただの一度も抗日戦争勝利記念日を祝ったことがなく、またいわゆる「南京大虐殺」を教科書で教えることも絶対に許さなかった。
中国の指導層や中共の老幹部たちは、この事実を十分に認識している。だからこそ逆に、声高に「日本の戦争犯罪」を叫び続けていなければならないのである。
日本の戦争行為自身はもちろん反省しなければならないし、二度と戦争を起こしてはならない。しかしだからと言って中共の歴史の隠ぺいをいつまでも許しておくことは危険である。
中国における言論弾圧が激しいのも、中共の歴史の真相が表面化するのを恐れるからである。中国人民が知るのを最も恐れている。もし多くの中国人民が中共の歴史の真相を知ったならば、中共政権は中華民族に対する統治の正当性を失い、一瞬にして崩壊するからである。
本来なら、中国が国連創設の概念を持ち出してきて日本を批難するのであれば、日本は日中戦争時代に中共が何をしていたのかを明確にさせることによって、国連における発言権を抑えていくべきところだが、敗戦国の立場として日本からは言い出しにくいのは理解できる。
したがって、いま日本にできるのは、拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』に書いてある事実を世界に広めていき、国際世論を形成することである。
これは決して本の宣伝をしているのではない。70数年間かけて闘ってきた人生の、いうならば日本人への「遺言」として、日本人に活用してほしいと、ひたすら願っているだけである。そのことだけは、どうかご理解していただきたい。
中国がここまで居丈高になるのは、その裏に「中共の歴史を隠ぺいしている」という弱点があるからだ。その裏返しであることを、1人でも多くの日本人が認識して国際世論形成に力を貸していただきたいと切に望む。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。