リオ五輪閉幕、ブラジルを待ち構える厳しい現実
国家財政は破たんの危機に瀕している。好況時、2つの国際スポーツ大会招致になりふり構わず資金を投じたことの後遺症だ。
今年の財政赤字は昨年同様、国内総生産(GDP)の10%程度に達する見通しで、2013年の3%前後から拡大している。
ジェトゥリオ・バルガス基金の経済成長センター責任者、サミュエル・ペソア氏は、ブラジル経済が2015年から来年末にかけて最大10%縮小すると予想。「われわれは奈落を覗いている」と語る。
ペソア氏らエコノミストによると、政府が公務員給与や年金、社会保障費を削らなければ財政は破綻する。「国庫が爆発しそうな時に、投資を呼び込んで成長を促進するのは実に難しい」とペソア氏は言う。
テメル大統領代行はこうした問題に立ち向かうと宣言し、ブラジルの株価や通貨は最近反発していた。
しかしテメル氏は、州政府の支出制限など一部の改革で姿勢を後退させたため、新政権下でも大きな変化は望めないのではないか、との疑念が広がり始めた。
ワールドカップや五輪など、現実から目を背けられる対象を失った今、国民の前には永遠の時間が横たわっている。
オグロボ紙の著名コラムニストで人類学者のロベルト・ダマッタ氏は「幕は下りた。現実と向き合わねばならない」と語った。
(Paulo Prada記者)