決死の亡命を果たした北朝鮮公使、韓国で約束される仕事と警護
8月18日、韓国に亡命した北朝鮮高官の中で最高位となる在英北朝鮮大使館のテ・ヨンホ公使には、24時間の警護体制と、韓国諜報機関傘下のシンクタンクでの快適な生活が与えられそうだ。写真は韓国のテレビニュースで報じられるテ氏。ソウルで18日撮影(2016年 ロイター/Kim Hong-Ji)
韓国に亡命した北朝鮮高官の中で最高位となる在英北朝鮮大使館のテ・ヨンホ公使には、24時間の警護体制と、韓国諜報機関傘下のシンクタンクでの快適な生活が与えられそうだ。過去に同じような道をたどった高位級の脱北者が明らかにした。
韓国政府は17日夜、テ氏が家族とともに亡命し、ソウルに到着したと発表した。テ氏の亡命は、最高指導者の金正恩氏率いる、急速に孤立感を深めている北朝鮮指導部にばつの悪い一撃を与えることになる。
貧しく抑圧的な北朝鮮から、豊かで民主的な韓国に渡った約2万7000人の脱北者の多くは、韓国社会への同化で苦しみ、経済的にも貧しい状況に置かれている。しかし、北朝鮮の支配層と太いパイプを持つテ氏のような脱北者は、秘密主義の隣国を明らかにする価値ある情報源として重宝されている。
金光鎮(キム・グァンジン)氏は、他の多くの高位級の脱北者同様、韓国の情報機関、国家情報院(NIS)傘下の国家安保戦略研究所(INSS)に勤めている。
「韓国で生活するためには、もちろん、誰でも仕事を必要とする。韓国政府は仕事を与えてくれる。私はINSSで働く機会を与えられた」と金氏は語る。金氏は2003年、保険金詐欺への関与で醜名を流した在シンガポールの北朝鮮系保険会社で働いているときに、家族とともに亡命した。
チェ・ジュファル氏は北朝鮮の朝鮮人民軍の上佐だった1995年、中国への出張中に香港経由で韓国に亡命。軍人の脱北者としては当時、最高位の人物となった。
チェ氏は脱北者団体の長になるまでの1997年から2012年まで、INSSの研究員として働いていた。
「(韓国政府は)何の見返りもなしにテ氏に給与は払わない。彼はその研究所で仕事を与えられる可能性が最も高い」。67歳になるチェ氏は、INSSに言及しながら、こう語った。
韓国情報機関のNISは、テ氏に関してのコメントを拒否した。