尖閣沖、中国の狙い ── 南シナ海に学び東シナ海でも強硬路線
海だけでなく、いずれは空も
その後の動きとして注目すべきは、中国空軍のスポークスマンが8月6日、多くの機種にわたる戦闘機が南シナ海に向けて飛び立ったことを発表したことだ。それによれば「67年の輝かしい歴史を経て、中国空軍は多種の空軍兵士、多機能により現代化された戦略的軍種により、国家主権と民族の尊厳を守るために戦っている」として、いつでも臨戦態勢にあることを中国空軍は忘れていないと強調した。
「67年の輝かしい歴史」とは、拙著『毛沢東 日本軍と共謀した男』の252頁に書いたように、日本敗戦後も毛沢東は日本軍を徹底的に利用して、元日本軍の第二航空軍団第四練成大隊を懐柔し、中国共産党側の空軍創設を成し遂げたことを意味している。
元日本軍を原点とする中国人民解放軍の空軍部隊は、南シナ海に於いて海だけでなく、空の覇権をも掌握すべく、いま強化されているのである。
このアナロジーは、そっくりそのまま、尖閣を含めた東シナ海に適用されていくことだろう。
日本は決して南シナ海問題の二の舞を踏まぬよう、中国の打つ手を正確に読み、先手を打っていかなければならない。
[執筆者]遠藤 誉
1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。『チャイナ・セブン <紅い皇帝>習近平』『チャイナ・ナイン 中国を動かす9人の男たち』『ネット大国中国 言論をめぐる攻防』『チャイナ・ジャッジ 毛沢東になれなかった男』『完全解読 中国外交戦略の狙い』『中国人が選んだワースト中国人番付 やはり紅い中国は腐敗で滅ぶ』『中国動漫新人類 日本のアニメと漫画が中国を動かす』など著書多数。近著に『毛沢東 日本軍と共謀した男』(新潮新書)
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。