テレビ会議なんていらない!
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<カメラ映りが気になるせいで在宅勤務の良さが台無し。好感度も下がる画面越しの会話より普通の電話がいい>
1964年、ニューヨーク万国博覧会で史上初めてテレビ電話がお披露目された。AT&Tベル研究所が発明した装置の名前はピクチャーフォン。万博会場を訪れた人はその装置を使って、カリフォルニア州アナハイムにいる人と顔を見ながらおしゃべりすることができた。
ピクチャーフォンは大きな話題になったが、数年後にAT&Tが法人向けサービスを開始したときには熱狂は過ぎ去っていた。同社は70年代に、需要不足のためサービス提供を中止。「顔が見える状態で電話したいとの欲求が存在するとは言えなかった」と、AT&Tで社史研究を担当したシェルドン・ホックハイザーは後に指摘している。
それから半世紀、世界はテレビ会議の時代を迎えている。画質も音質も向上し、コンピューターやスマートフォンがあれば、同僚や顧客と即座に顔を見て話ができる。
出社せずに働くリモートワークが増えるなか、テレビ電話は仕事と切り離せない存在になる一方だ。14年に行われた調査によれば、働く人の半数以上が遠隔会議の少なくとも4分の1で、テレビ電話を利用している。
しかし、それは仕事にとって本当に効果的なのか?
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テレビ会議は在宅勤務の良さを台無しにする。気が散るし、画面にどう映るか気になるし、会って話をするときと同じ利点は得られない。あらゆる通信ツールの悪いところを寄せ集めたもの、それがテレビ電話だ。
スタッフが同じ場所で働いていない場合、テレビ会議は一体感を生み出すいい方法か? いや、在宅勤務をする人の多くは、テレビ会議のせいで不便かつ居心地の悪い思いをしている。
自宅からテレビ会議に参加するときは、自分や自分がいる部屋を見られても恥ずかしくない状態にしなければならない。周囲や身だしなみを整えても、見た目を意識する気持ちは消えない。よりよく映るためにウェブカメラの角度や位置を調整したことなんてない、と言う人は嘘つきに決まっている。
筆者は対面の会議では外見など気にならないのに、テレビ電話では自意識過剰になる。画面上では表情や視線、わずかな姿勢の変化がいちいち目につく。