最新記事

コンプライアンス

三菱自工8車種、国交省調査で燃費カタログ値以下 販売一時自粛へ

2016年8月31日(水)09時55分

8月30日、国土交通省は、三菱自動車の燃費不正問題で、同社で不正が発覚した軽自動車4車種を除く販売車両9車種を対象に燃費値を測定した結果、8車種がカタログに記載された値を下回ったと発表した。写真はロゴ、都内の本社で2日撮影(2016年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

国土交通省は30日、三菱自動車が販売中の9車種の燃費値を独自に測定した結果、8車種がカタログに記載された値を下回ったと発表した。三菱自は同省の修正指示を受け、新しい燃費値を同日申請した。同社は新燃費値への表記変更などの準備が整うまで8車種の販売を2週間ほど中止するほか、燃料代や税金の負担が余分に生じる顧客には最大10万円の賠償金を支払う。

国交省の測定では、8車種の燃費値がカタログ値を平均で4.2%下回った。差が最も大きかったのはスポーツ型多目的車(SUV)「RVR」の8.8%で、1リットル当たり16キロと公表された車両タイプは同省の測定では14.6キロだった。カタログ値を上回ったのはガソリン車のSUV「アウトランダー」だけだった。

三菱自は販売した車両7万6474台の顧客に賠償金を支払う。内訳は、プラグインハイブリッド車「アウトランダーPHEV」、電気自動車の「アイ・ミーブ」と「ミニキャブ・ミーブトラック」が3万円、ガソリン車のSUV「パジェロ」と乗用車「ミラージュ」、ミニバン「デリカD:5」が6万円、RVRが10万円。「ミニキャブ・ミーブバン」はカタログ値を下回ったが、充電1回で走行できる距離に変更がないとして賠償の対象から外れる。賠償金の総額は最大70億円になる見込みだが、2017年3月期の業績見通しに影響はないという。

益子修会長は同日会見し、測定は「現場に任せていた」として陳謝した。三菱自は国が定めた測定方法は用いたが、燃費算出に必要なデータを測定する際に必要な数値について都合の良い低い方を抽出していた。一般的には法令順守の高まりから中間値を取るのが望ましいとされる。ただ、法令ではどの数値を取るのかまでは規定されていないとして「基本的には法令違反ではない」との認識も示しつつ、今後は「良いとこ取り」ではない数値を採用するとした。

また益子会長は、販売一時中止による生産や雇用への影響、日産自動車との提携に与える影響はないといい、海外にも日本と同じ仕様の車両があるが台数が少ないため影響はないと説明した。

国交省は三菱自と同じく国が定めた方法とは異なるやり方で燃費データを測定していたスズキの販売している26車種も測定したが、すべてカタログ値を上回ったので問題はないとした。

(白木真紀 編集:内田慎一)



[東京 30日 ロイター]


120x28 Reuters.gif

Copyright (C) 2016トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

インド製造業PMI、3月は8カ月ぶり高水準 新規受

ワールド

中国軍が東シナ海で実弾射撃訓練、空母も参加 台湾に

ビジネス

ユニクロ、3月国内既存店売上高は前年比1.5%減 

ビジネス

日経平均は続伸、米相互関税の詳細公表を控え模様眺め
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:引きこもるアメリカ
特集:引きこもるアメリカ
2025年4月 8日号(4/ 1発売)

トランプ外交で見捨てられ、ロシアの攻撃リスクにさらされるヨーロッパは日本にとって他人事なのか?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 2
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2人無事帰還
  • 3
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    あまりにも似てる...『インディ・ジョーンズ』の舞台…
  • 8
    「隠れたブラックホール」を見つける新手法、天文学…
  • 9
    イラン領空近くで飛行を繰り返す米爆撃機...迫り来る…
  • 10
    【クイズ】アメリカの若者が「人生に求めるもの」ラ…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大はしゃぎ」する人に共通する点とは?
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 7
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    8日の予定が286日間に...「長すぎた宇宙旅行」から2…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中