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スペインスペイン、3度目の正直なるか? 新政権樹立目指し下院選実施へ
8月28日、2度の選挙を経ても政権を樹立できていないスペインで、下院が31日にラホイ暫定首相の信任決議を実施する。写真はマドリードで記者会見するマリアノ・ラホイ暫定首相。28日撮影(2016年 ロイター/Andrea Comas)
2度の選挙を経ても政権を樹立できていないスペインで、下院が31日にラホイ暫定首相の信任決議を実施する。否決の可能性が高く、1年間で3度目の下院選に向けてカウントダウンが始まりそうだ。
スペインは昨年12月の下院選で政権を樹立できず、今年6月の選挙では首相の国民党が最大の得票を押さえたが、過半数には至らなかった。
信任決議では、新興政党のシウダダノス(市民党)が首相支持に回ると表明しているが、社会主義政党は支持を拒否しており、過半数は得られない見通しだ。
31日の決議で信任されない場合、9月2日に再投票が行われ、これを社会主義政党が棄権すれば信任に至るが、社会主義政党は棄権の可能性を否定している。
ラホイ首相の信任決議が否決された場合、政権樹立協議に2カ月の猶予が与えられるが、その期限が来ると自動的に選挙が公示される。クリスマスごろになるかもしれない。
もっとも、野党は選挙法を変えて選挙を前倒しすべきだと主張している。
31日の信任決議までに政権不在の期間は254日と、スペインの民主主義の歴史で最長に達する。
<経済に悪影響>
政府が機能していないにもかかわらず、スペイン経済は好調だ。3年前に景気後退から脱し、暫定政権の予想では今年の成長率は2.9%と、ユーロ圏で屈指の高さとなる見通し。しかしエコノミストによると、政治の不透明感が解消されればさらに成長率はさらに高まるだろう。
BBVAのエコノミスト、ミゲル・カルドソ氏は「政権不在が悪影響をもたらしている」と指摘。同氏の予想では、今年の成長率は3.1%だが、政権が樹立されていれば3.5%程度になっていたはずだ。
建設などの分野には既に政局の不透明感が影を落としている。
25日に発表された政府統計によると、第2・四半期の建設業の活動は前年同期比0.7%減少した。公共工事の決定が棚上げされているためだ。
また、政府による高官の任命も滞っており、ジャマイカ、インド、ベルギーのスペイン大使館は大使不在となっている。
(Sonya Dowsett記者)