「国民投票は後悔しない」──去りゆくキャメロンに満場の拍手
家族と共に首相官邸に別れ Peter Nicholls--Reuters
<EU離脱をめぐる国民投票をすると言い出した張本人のキャメロン英首相が昨日、退任した。「戦犯」扱いだったが、英議会での最後の質疑応答は概ね好意的だった。確かに民主主義は貫いた。「国益に資した」かどうかは、イギリスがこれから答えを出す>
デービッド・キャメロン前英首相は13日、下院本会議で首相として最後の質疑応答を終え、満場の拍手に送られて議場を後にした。去りゆく首相は「かつて私は(イギリスの)未来だった」が、もう出番は終わったと語り、次期政権にエールを送った。
議場の怒号を浴びられなくなるのは寂しいが、今後は一下院議員としてメイ政権を盛り立てていくという。
キャメロンが前回の総選挙で単独過半数を取るために国民投票の実施を公約に掲げたせいで、イギリスはEUを離脱することになった──残留派の間では今もそんな怒りがくすぶっているが、最後の質疑応答でキャメロンの責任を厳しく追及したのは、イギリスから独立してでもEUに残留したいスコットランドの議員団だけだった。
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キャメロンは、指導者の責任を手加減せずに追及するイギリスの議会制民主主義は素晴らしいと言い、この伝統を「堅持する」よう議会に呼び掛けた。「公務において最終的に問われるのは国益に資したかどうか、それがすべてだ」
同性婚を合法化
野党・英労働党のジェレミー・コービン党首もこの日は追及の手を緩め、同性婚の合法化とグアンタナモ収容所にいた最後のイギリス市民、シャケル・アーメルの釈放を勝ち取ったのはキャメロンの功績だと、はなむけの言葉を贈った。
一方コービンは、間もなく次期首相に就任するテリーザ・メイ内相が強欲な企業幹部を批判し、多くのイギリス人は経済成長の恩恵を実感していないと述べたことを引き合いに出し、キャメロン政権下で格差が拡大したと苦言を呈することも忘れなかった。「実に多くのイギリス人が生活破壊にあえいでいる、という彼女の発言は正しいのではないか」と、コービンは問い掛けた。
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キャメロンはこれに対し、最低賃金を引き上げたこと、繁忙期のみに業務委託する「ゼロ時間契約」の排他条項を禁止し、非正規の労働者が掛け持ちで働けるようにしたことを挙げて、労働分野での業績をアピールした。