AUKUSの豪原潜配備計画、米国の技術輸出規制が障壁

米政府は昨年、オーストラリアに対し、機密性の高い防衛関連技術・装備の輸出に関する規制を緩和した。しかし関係者によると、潜水艦については依然規制が適用されており、豪軍への原子力潜水艦配備計画に支障が出ている。写真はバージニア級攻撃型原潜「ミネソタ」。西オーストラリア州沖で3月代表撮影(2025年 ロイター)
Kirsty Needham
[シドニー 15日 ロイター] - 米政府は昨年、オーストラリアに対し、機密性の高い防衛関連技術・装備の輸出に関する規制を緩和した。しかし関係者によると、潜水艦については依然規制が適用されており、豪軍への原子力潜水艦配備計画に支障が出ている。
米英豪の安全保障枠組み「AUKUS(オーカス)」に基づき、オーストラリアは米バージニア級原潜を購入することを計画している。
米英豪は昨年8月、AUKUS間の防衛品貿易に関する規定を変更し、これまで米国の国際武器取引規則(ITAR)の対象となっていた米国からオーストラリアへの防衛輸出の70%がライセンス不要となった。
しかし、高度な分野や機密性の高い分野を対象とする「除外技術リスト」については、依然として厳格なライセンス取得プロセスが必要となる。
豪国防省のライト防衛産業担当次官補は、「潜水艦技術は除外技術リストに掲載されており、AUKUSの(ライセンス)免除対象にはならない」と指摘した。
企業幹部によると、原子力潜水艦に関する情報移転が制限されているため、オーストラリアの部品メーカーは、供給能力があっても米海軍の造船所での作業に入札できない状況にある。
米潜水艦製造会社ハンティントン・インガルス・インダストリーズ(HII)、ハネウェル、米海軍は、情報セキュリティーに重点を置いた試験的なプログラムを通じて、一部の豪企業がバージニア級潜水艦の下請け契約の入札資格を得られるよう支援している。
しかし西オーストラリアの防衛関連企業ビームは、HIIとの情報交換を可能にするための米国の安全保障手続きの完了に1年を要すると見込んでいる。
ビームのトレバー・ラマン最高経営責任者(CEO)は、「製造を遅らせているのは、われわれが担当している部品だ」と述べた。「情報保護体制を確立し、米国の敵対勢力に情報が渡ることを防ぐ十分なシステムがあることを証明することが最大の課題だ」と説明した。