金ETFへの資金流入、中国が米国を上回る 需要増加で=WGC

金の国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のデータによると、金現物を裏付け資産に持つ中国の上場投資信託(ETF)に流入した投資資金が今月に入って以降、現在までに第1・四半期全体の規模を上回り、米国上場ETFも超えた。写真はシンガポールにある貴金属保管施設「ザ・リザーブ」の金の延べ棒。10日撮影(2025年 ロイター/Edgar Su)
[ロンドン 14日 ロイター] - 金の国際調査機関ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)のデータによると、金現物を裏付け資産に持つ中国の上場投資信託(ETF)に流入した投資資金が今月に入って以降、現在までに第1・四半期全体の規模を上回り、米国上場ETFも超えた。
資金流入額の増加は金保有高の増加になって現れる。WGCのシニア市場ストラテジスト、ジョン・リード氏が14日、ソーシャルメディアで明らかにしたところでは、中国の金ETFは4月最初の11日間で保有高が29.1トン増加した。第1・四半期の増加幅は計23.5トンにとどまっていた。また、米国上場ETFの保有高は4月に入って以降27.8トン増えたが、増加幅は中国ETFを下回った。
リード氏は「第1・四半期の増加理由は主に米国の関税(引き上げや上乗せ政策に)絡んだものと欧米のETF購入だったが、第2・四半期は中国の投資家による金への関心が膨れあがり、従来と一線を画す展開となる可能性がある」と述べた。
金は、地政学的・経済的リスクをヘッジする受け皿とされることが多い。米国と中国の高関税措置の応酬は先行き不透明感をもたらしており、金価格は年初以来22%上昇した。14日には1オンス=3245.42ドルを付け、過去最高値を更新しており、人民元が一時2007年以来の対ドル安値水準を付けたのと対照的だ。
国際価格に乗せる中国国内の「プレミアム」は前週、ロンドン価格の1%分となり、前々週の0.2%分から上昇した。ディーラーらによる実売価格は24─54ドルの上乗せがあった。
ある金取引業者が匿名を条件に明かしたところによると、こうした高いプレミアムを背景に、貴金属取引部門を持つ複数の世界的銀行が先週、中国市場で「異例の活発さ」を見せ、大量の金を輸入していたという。