EU離脱決定でイギリス国内の政治・経済が大混乱、株・通貨下げ止まらず
6月27日、英与党・保守党で、国民投票の結果を受けて24日に辞意を表明したキャメロン首相(写真)の後任選びが始まる中、野党・労働党では影の閣僚の辞任が相次ぎ、コービン党首に反発する動きが加速するなど、英国は政治的にも経済的にも深い混乱状態にある。ロンドンで27日撮影(2016年 ロイター/Peter Nicholls)
英国の国民投票での欧州連合(EU)離脱決定は週明け27日の金融市場に新たなショックを与えた。英国政府は政治と経済の混乱緩和に努めているにもかかわらず、通貨ポンドは下げ止まらない。
オズボーン英財務相は27日、EU離脱決定について、金融市場のさらなる変動が予想されるとしつつも、英経済は先行きの困難に対処できるほどに強固との認識を示した。それでもポンドは対ドルで31年ぶりの安値を付け、先週の予想外の離脱決定からの下げが続けている。
欧州銀行株は先週24日と27日の2営業日の下げ幅が過去最大を記録。MSCI世界株価指数<.MIWD00000PUS>も2営業日で2008年のリーマン・ショック級の下げ幅となっている。
格付け大手S&Pは27日、英国の最上位トリプルA格付けを2段階引き下げ、AAとし、一段と引き下げる可能性もあると警告した。
英与党・保守党で、国民投票の結果を受けて24日に辞意を表明したキャメロン首相の後任選びが始まる中、野党・労働党では影の閣僚の辞任が相次ぎ、コービン党首に反発する動きが加速するなど、英国は政治的にも経済的にも深い混乱状態にある。
ロンドンの金融関係者の多くは「市場に方向性を示し、安心感を与えることが必要な状況なのに政治的リーダーシップが存在しない」と感じている。
キャメロン首相の後任選びで最も注目を集めているのは、EU離脱派を率いてきたボリス・ジョンソン前ロンドン市長。ブックメーカー(賭け業者)も最有力視しているが、保守党内にはかつての盟友であるキャメロン首相を裏切りEU離脱派に回ったとして、「反ボリス派」も多いと伝えられている。
スカイニュースは関係筋の情報として、スティーブン・クラブ雇用・年金相が出馬を検討していると報じた。雑誌スペクテイターの編集者はツイッターで、ジェレミー・ハント保健相も党首選に出馬する公算が大きいとの見方を示している。